“イノベーション”を起こすために必要なこと

創業手帳

「株式会社スマイルワークス」 代表取締役社長 坂本 恒之 氏インタビュー

(2015/06/12更新)

「会計」「販売」「給与計算」「経費精算」「勤怠管理」など、さまざまなシステムをクラウドサービスとして提供している『株式会社スマイルワークス』。創業して12年の同社はどんな経営者や企業を参考に経営しているのでしょうか。

代表取締役社長の坂本 恒之氏に話を伺いました。smile-works2_2

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坂本 恒之(さかもと・つねゆき)
北海道札幌市出身。大手流通グループにて法人営業企画やセールスプロモーション、システムの企画・構築を担当。
その後、セキュリティベンチャーで事業開発、ロータス/日本IBMでビジネスパートナーマーケティングを担当。ITを活用したサービスビジネスにおける事業開発・マーケティングのエキスパートとして、各方面から高い評価を得る。
2003年に(株)スマイルワークスを設立し、代表取締役社長に就任。弥生(株)の経営に参画するなど、中小企業支援ビジネスでの実績も豊富。

 

「クラウド」とはつまりどういうことか?

ー創業時あるいは創業後、参考にしていた企業や経営者の方はいますか?

坂本:僕は松下幸之助さんが好きで、とくに支持しているのが「水道哲学」です。
松下電器の設立総会の時、松下さんは次のように話したそうです。

「蛇口をひねったら水が出ます。それを道端で飲んでも、誰もとがめることはない。犯罪になることもない。誰も気にしない。でも、蛇口をひねると飲める水が出るというのは、本来すごい価値なのです。そのすごい価値を、あたかも無料であるかのように普及させる。するとこれが、生活レベル、いわゆる社会レベルを上げることにつながるのです」。

つまり、価値の高いものを広く、そして安く普及させることによって、多くの人が多大な恩恵を得られる。

それを実現するのが松下電器の使命だ、と言っていました。

その水道哲学が、とてもクラウドに似ていると感じました。

クラウドは、パブリッククラウド(一般利用者を対象に提供されるクラウドサービスのこと)として広く浸透させることで、社会的なインフラになります。

これまで数千万円・数百万円の費用がかかっていたものが、数千円レベルで使えるようになるのです。

たとえば、今までは中小企業向けのERP(企業にあるヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を有効に活用し、企業の経営をより効率的に行うためのソフトウェアやITサービスのこと)はほとんどありませんでした。

導入には数億円~数千万円の費用がかかるからです。

それがクラウドによって、数千円規模で導入できる時代になっているんです。

「クラウドが普及することで、より多くの人が生産性の高い仕事に従事できるようになる」。

これは我々が思い描いていることなのですが、すでに何十年も前に、松下さんが同様の趣旨の話をしていたのです。

それを知り、水道哲学というのは改めて、古今東西どこにでも共通する素晴らしいコンセプトだと思いました。

大きくなっても“イノベーション”を起こせる会社に

ー現在、注目している業界、あるいはベンチマーク先の企業などありましたら教えてください。

坂本:任天堂さんはモデルとして参考にしたいですね。

任天堂が開発したファミコンには「十字キー」があるんですが、あの十字キー、実は任天堂の特許なんです。

他社ゲームメーカーは、みんな十字キーに対して特許料を払っているわけです。

しかし、任天堂は「任天堂Wii」を発売しました。任天堂Wiiは、ジャイロセンサーで方向を変えるという、新しい試みをしています。

MBA的な理論でいくと、強みを生かして次のステップに上がるのが定石です。

そのため多くの企業は自社の強みを生かして次の製品を作ろうと考えますよね。

僕が面白いと思うのは、任天堂は十字キーという強み、特許技術を持っているのに、その強みを捨てて全然違うことに挑戦した。

それこそ、イノベーションを起こすために必要なことだと考えています。

業界のトップバッターをやっていると、社内でイノベーションは起こりにくい。しかし、任天堂はゲームメーカーで世界No.1にも関わらず、自社の強みを捨てて次のスタンダードを作ろうとしている。そうした姿勢は、「たとえ会社が大きくなっても、イノベーションを起こせるような企業文化を持ち続けるにはどうすればいいのか?」という問いに答えてくれるものだと思います。

これから大きくなろうとする企業にとって、とても参考になると思いますよ。

(取材先:株式会社スマイルワークス
(創業手帳編集部)

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