営業の極意はストーリーづくりにあり!創業者が自分の商品・サービスを買ってもらう方法

創業手帳

(前編)ストーリーを作るための下準備をしよう

(2018/12/13更新)

「世の中の課題を解決するために、新しい商品・サービスを作ろう!」そう思って起業する創業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ですが、いくら画期的な商品・サービスを作り出したとしても、それを必要としている人たちに届けることができないと意味がありません。そのために必要なのが、営業活動です。とはいえ、営業職を経験していない創業者にとっては、どのように営業活動をしていけばいいのかわからない、と頭を抱えている人も多いかと思います。

そこで今回は、営業活動での効果的なツールとなる「セールスストーリー」の作り方について、マーケティング、営業、PR活動の専門家であるコンサルタントの武部かずみさんに解説していただきました。

セールスストーリーは、売上を伸ばす効果的なツール

セールスで苦戦している創業者の方々は、主に以下の3つの理由で悩んでいるのではないでしょうか?

創業者がセールスで行き詰まる3つの理由
  • 1)セールスの経験が少ないので、どうすればいいかわからない
  • 2)我流でやっているので、うまくいく時といかない時があって安定しない
  • 3)そもそもセールスが好きでなく、嫌々やっている

創業後早期に売上を伸ばし、その後も安定して売上をあげていくためには、効果的なセールスストーリーの作成がカギとなります。セールスストーリーとは、見込み客が貴社の商品・サービスに興味をもち、内容を検討して、最終的に購入決断に至るように気持ちを動かすために設計されたプロセスです。セールスストーリーを一つ作っておけば、対面でのセールストーク、商品・サービスのパンフレットやプレゼン資料、自社Webサイトでの紹介ページや広告など、全てに活用できます。

先ほど挙げた3つの理由のうち、1と2に関しては、セールスストーリーの作り方、つまり見込み客が購入を決断するまでの「型」を学ぶことで、効果的に安定して購入してもらえるベースを作れます。

3に関しては、「セールス=商品・サービスを売りつける」というイメージがあり、それが苦手意識につながっている場合も多いと思います。「セールス=お客様の問題解決をサポートする」と発想を転換してみましょう。

今回お伝えするセールスストーリーの作り方のステップを踏んでいくと、「この商品・サービスを買ってもらうことで、お客様の問題解決をサポートしているのだ」という自信もできあがってきます。また、将来社員の方に営業活動を任される場合にも役に立ちます。ぜひ貴社の商品・サービスのセールスストーリーづくりに取り組んでみてください。

商品・サービスのターゲット客層、コンセプトはハッキリしていますか?


では、早速セールスストーリーづくりに入りましょう!…と、言いたいところですが、その前に確認しておかなければならない大切なことがあります。それは、下の2つです。

  • 1) ターゲットのお客様はどんな人(会社)ですか?
  • 2) 商品・サービスのコンセプトは何ですか?

商品・サービスをつくられた際にすでに検討されていると思いますが、重要なのは「どこまで明確になっているか」です。お聞きすると意外に曖昧な場合も多いのです。見込み客を「買おう」という気持ちにできるセールスストーリーを作るにはこの2つがはっきりしていることが必須ですので、今一度見直しておきましょう。

ターゲットは自社が一番になれるレベルまで絞り込むべし


まずは、ターゲットとなるお客様についてです。創業期にある多くの企業では、どれだけターゲット客層を絞れるかがカギとなります。あまりに絞り込みすぎると売上げが見込めなくなってしまいますが、大企業が手を出さないところ、できればその客層では自社の商品・サービスが一番になれるというレベルまで絞り込めると強いです。

例えば、新潟県の自然化粧品会社であれば、「20~50代の健康志向の女性」よりも、まずは「新潟、富山、石川県3県で、5~12歳のお子さんがいて、家計を支えるためパートタイムで仕事をしていて、敏感肌で肌荒れに悩んでいる女性」くらいまで絞ってしまう方が作りやすいです。

もちろん、将来的に客層を広げていくことは問題ありません。参考までに、ターゲット客層を絞り込む際の切り口の例をお示ししておきます。

  • 1)属性
  • 地域、年代、性別、既婚未婚、職業、年収、学歴など。(お客様が法人の場合は、業種、企業規模、年商、従業員数など)

  • 2)ライフスタイル
  • 平日勤務週末休み、仕事中心、家族中心、趣味、ボランティア活動、インドア派・アウトドア派、外食が多い、主な情報源(TV、SNS、本、雑誌など)など

  • 3)価値観
  • 価格重視、品質重視、スピード重視、デザイン重視、健康志向、エコ意識が高い、新しいものをすぐ試したい、多くの人が使っていて効果が保証されているものを使いたい、色々情報収集してから決める、人のおススメで買うなど

ターゲット客層が絞り込めたら、そのお客様をできるだけリアルにイメージして、「どんなことに悩んでいるか」「どんな欲求を満たしたいのか」を考えましょう。その商品・サービスに直結する悩みや欲求だけでなく、そのお客様にとって重要と考えられるものも書き出しておきます。

先ほどの例であれば、「肌荒れで、外出の際にきちんとしたお化粧ができない」「子供が小さいので、お化粧するのに時間をかけられない」「夫婦ともに収入も限られているので、化粧品にお金をかけられない」「自然化粧品はたくさんあり、どれが良いのか、自分の肌質に合うのかわからない」から、「ママ友との関係に悩んでいる」「子育てに自信がもてない」「夫が子育てに協力してくれずイライラする」といったものまで。悩みや欲求を広く見ておくことで、自社の商品・サービスについて今まで気づかなかった価値や強みを発見できることも多いのです。

また、自分の頭の中だけで考えるのでなく、社員とディスカッションしたり、可能であればターゲット客層の条件に近い友人、知人に話を聞いたり、SNSを使って簡単なアンケートをとって検討してみてください。

コンセプトを実現するための「強み」を書き出すべし


ターゲット客層の悩みや欲求が明確になったら、商品・サービスのコンセプトを見直します。コンセプトとは、貴社の商品・サービスがお客様にどんな価値を提供するかということです。

「価値」というとわかりにくいかもしれませんが、要するにターゲットのお客様の悩みを解決する、または欲求を満たすために、その商品・サービスが何をできるのかということです。
前にあげた自然化粧品の例であれば、「地方で子育てと家計を支えるのに忙しい敏感肌の女性がきれいにお化粧をできるようになることで、笑顔で活き活きと毎日をすごせるようサポートをする」等が考えられます。

次に、その商品・サービスがもつ「コンセプトを実現するための特徴、強み」について全て書き出し、その中から重要なものを3~5つピックアップします。これをセールスストーリーの中で使います。さらにこの中から最も重要なものを一つだけ選び、コアメッセージに使います。お客様にとって大きな意味があること、そして競争相手より優れていることが選択基準となります。

これは「USP(Unique Selling Point)」と呼ばれ、「お客様にとってこんな大きな利益がありますよ」「他の商品・サービスではなくこれを買った方がいいですよ」という強力な提案となりますので、セールスストーリーで重要なポイントです。

ターゲット⇔コンセプトを行き来して練り上げていこう

いかがでしたか? 「ターゲット客層」「コンセプト」がここまで明確になっていないと、これから作るセールスストーリーもぼやけた、効果の薄いものになってしまいます。この2つは「ターゲット客層」→「コンセプト」という順ではなく、「ターゲット客層」⇔「コンセプト」の間を行ったり来たりしながら練り上げていくものですので、多少時間がかかってもしっかり取り組んでみてください。

次回は、いよいよセールスストーリーを作るためのステップについて解説します。お楽しみに!

【後編】セールスストーリーづくりのための「3つのステップ」
創業者が商品・サービスを買ってもらうための「セールスストーリー」のつくり方

(監修:マーケティング&PRコンサルタント 武部かずみ
(編集:創業手帳編集部)

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