レンティオ 三輪 謙二朗|カメラ・家電のレンタル事業で急成長! 代表に聞く資金調達のコツと事業拡大戦略

創業手帳
※このインタビュー内容は2020年03月に行われた取材時点のものです。

レンティオ株式会社の三輪謙二朗代表に、資金調達のリアルな話を聞きました

(2020/03/23更新)

レンティオ株式会社は、カメラ・家電製品などを中心にレンタル事業を展開しています。2015年の立ち上げから、3回の資金調達を経て事業をスケールさせ、2020年2月には、総額10億円の資金調達を達成。メーカーとも積極的に提携するなど、急成長している注目のスタートアップです。

起業家が、最初の資金調達や、次の資金調達までどのように事業を拡大させていくかについて悩むケースは少なくありません。今回、複数回資金調達を達成しているレンティオ代表の三輪謙二朗氏に、最初の調達エピソードや、調達からどのような戦略で事業を拡大してきたのか、調達のコツなどについて、リアルな話を伺いました。

三輪謙二朗(みわ けんじろう)株式会社レンティオ 代表
2008年楽天株式会社入社。モバイル推進グループにて、モバイル版楽天市場の拡大に貢献後ECコンサルタントとしてキッチン日用品雑貨ジャンルグループ配属。退職後、ECベンチャー企業を経て2015年4月に株式会社カンパニー(現 レンティオ株式会社)を創業。

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「買う」と「買わずに我慢する」の間に、レンタルという選択肢を

ー事業の概要を教えて下さい

三輪:家電や、カメラのレンタル事業を行っています。現在、約2000種類ほどの商品を提供しています。

レンタルプランは、期間を決めてワンショットでレンタルするタイプと、月額制レンタルの2パターンを用意しています。また、レンタルした商品を気に入ったら、そのまま購入できるサービスや、月額制で一定期間以上商品を使い続けたら、そのまま自分のものにできる「もらえるレンタル」も展開しています。

ーこれまでのご経歴と、起業に至った経緯を教えて下さい

三輪:もともと家電のEC事業を展開している会社で働いていたのですが、「家電をレンタルできないか」という要望が多くありました。

ビデオカメラやベビ―カーなど、「ある期間やタイミングで必要だけど、そこまで頻繁には使わなかったり、一定期間を過ぎたら不要になる商品」ってありますよね。これまで、それらの商品には、「買う」か「買わずに我慢する」かの2択しかありませんでした。そこで、2つの選択肢の中間になるような、消費者向けのレンタルサービスがあったら良いのではないかと考えるようになりました。

その後、務めていた会社がなくなり、もともと起業してみたかったことも相まって、レンタル事業を立ち上げることにしました。

VCからのアプローチで、「スタートアップ」の資金調達方法を知った

ー創業直後から、1回目の資金調達まで、どのように事業をスケールさせていきましたか

三輪:創業当初は、3泊4日の短期レンタルのみ提供していました。最初は、どの商品のレンタル需要が高いのかわからなかったので、50種類くらいの商品を用意して、それぞれの利用データから、利益率の高い商品を探っていきました。

また、ユーザーにとっての「使いやすさ」も追求しました。創業当時、レンタルサービスはすでにたくさんあったので、事業を始めるにあたって、複数のサービスを実際に使ってみました。しかし、どのサービスも「借りにくく、返しにくい」と感じました。借りるまでの手続きが煩雑だったり、返す時に自分で梱包材を探したり、伝票を書いたりしなければならないケースが多かったのです。

ならば、我々は「借りやすく、返しやすいサービスを作ろう」ということで、申込みの手順を可能な限りシンプルにし、返却に必要な着払い伝票やガムテープも同封し、コンビニから返却できるようにするなど、利便性を整えました。

実際にレンタル事業を始めると、想像以上に需要が多いことがわかりました。ちょうどシェアリングエコノミーの流行り始めと重なったことも一因でしょう。実際、インターネット上での「〇〇×レンタル」の検索ボリュームは、2015年頃から右肩上がりで増えています。事業を始めてから、すぐに「これは行ける!」と実感しました。

ー最初の資金調達のエピソードを教えて下さい

三輪:2015年4月に起業して、同年の10月に初の資金調達を達成しました。3000万円規模の調達でした。きっかけは、独立系VC(ベンチャーキャピタル)のANRIさんからお声がけいただいたことです。

ANRIの代表は「これから家電レンタル事業が盛り上がる」と予想していました。様々なレンタルサービスを調べる中で、Rentioを見つけてくれたとのことです。

事業を始めた当時、私は街の中小企業という感じで、地道に事業を進めていく予定だったので、「スタートアップ」の資金調達方法など、何も知らない状態でした。当時、事業の月商は3、40 万円ほどで、事業への手応えは感じていたものの、まだまだ小さい利益でした。

にもかかわらず、ANRIさんは「条件が整えば出資します」と提案してくれました。そこから、他のVCにも話を聞きに行き、複数のVCから投資の提案をいただきました。結果として、我々を最初に見つけてくれたANRIさんから出資を受けることにしました。

2度目の調達では、データから明確な目標を立て、投資家にPR

ー最初の調達で得た資金をどこに投じ、事業をスケールさせていったのでしょうか。立てた戦略や、実際の結果も併せてお教えてください

三輪:レンタルビジネスは金融に近く、在庫数と利益の関係が明確です。だから、どれだけ資金を調達すれば、どれくらいの利益を見込めるか、計画を立てやすいです。

最初の資金調達をしたタイミングで、月商1000万円を達成する目標を立てました。そのためには、約3400万円分の在庫があればいい、という試算でした。なので、調達した資金は、ほとんど在庫の増加に投資しました。

最初の資金調達から約1年で、目標通り月商1000万円を達成し、2016年10月に2度目の資金調達をしました。このときは、追加出資・新規の出資と併せて、1億円強の規模でした。

レンティオは、在庫のうち約9割が稼働しているという回転率の高さにこだわっているので、回転率のデータなどもあわせて示すと、投資家の方から納得してもらいやすかったですね

大手企業との提携でも、「質の高い顧客データ」が武器になった

ー今後の事業の展望を教えて下さい

三輪:まずは、月商数億円を目指して扱う商材の種類を広げ、サービス自体を良くしていきたいです。併せて、メーカーともどんどん提携していきたいと考えています。事業拡大に伴って、最近では、メーカー側から提携の提案をいただくことも増えてきました。

ー大手企業とも提携していると聞きました。提携のコツはあるのでしょうか?

三輪:創業時からメーカーにアプローチして、提携を提案してきました。レンタル事業をやる中で、「レンタルが増えれば購入・消費も増える」という実感を得たからです。レンタルして、使用感を試したユーザーは、そのまま商品を購入する確率がぐっと高くなります。これは弊社に蓄積されたデータが証明しているので、メーカー側に提携のメリットを示す上で大きなアドバンテージになります

プレゼン資料にも、客観的なデータを盛り込んでいる

また、弊社サービスの、レビューの投稿率の高さをPRしています。Amazonや楽天などでは、消費者のレビュー投稿率が0.8%程度だそうです。対して、弊社サービスを利用したレビューの回答率は8%くらいで、高い水準を保っています。

ユーザーレビューだけでなく、ユーザーアンケートも取っています。レンタルを体験したユーザーの中で、レンタルから購買に至ったユーザーの性質や割合、理由などを分析することができます。アンケートのデータを元にメーカーさんにフィードバックすると、とても喜ばれますね。

データによって根拠を具体的に示すことができるかどうかが、提携の上でとても重要だと思います

良い事業を本気で作っていれば、自然と事業が伸び、資金調達にもつながる

ー組織づくりで意識しているポイントを教えて下さい

三輪:経営者としては、レンタルの配送作業など、オペレーションに携わる人が多い事業なので、そのメンバーが楽しく働ける環境を、いかに整えるかを意識しています。結果として、サービス作りにあたって、お客さんがどうしたら喜んでくれるか、を本気で考えてくれる人材が集まっていると感じています。

メンバーが少なかった創業時は、配送対応の効率など、個々のスキルによるところが大きかったですが、メンバーが増えた今は、オペレーション業務をある程度体系化できるようになりました。ただ、体系的な仕組みを整える一方で、業務を完全な縦割りにはしないよう調整しています。メンバーに判断を委ねる余地を残すことで、自発的に動きやすい環境を作っているのです。

ー資金調達を考えている起業家に向けて、アドバイス・メッセージをお願いします

三輪:まず大前提として、ほとんどのサービスには、ユーザーがいます。ユーザーのことを本当に考えたサービスを作っていれば、事業は自然に伸びます。

資金調達に関して言えば、まずは投資してくれる先が見つかるまで、めげずに会い続けることが大事です。一方で、目的を持たずに、ただたくさんの投資家に会いに行くだけではうまくいきません。私は、VCに会いに行く前、そのVCがどんな領域に投資していて、どんな考えを持っているのか徹底的に調べます。相手も人間なので、事前に下調べをしっかりした上で会いに行くと、感触が良くなります。

プレゼンをするにあたって、資料作りなど準備しなければならないこともありますが、やはり本質は、良い事業を本気で作っているかどうかだと思いますね。

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(編集:創業手帳編集部)

(取材協力: レンティオ株式会社/三輪謙二朗代表
(編集: 創業手帳編集部)



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