賃料削減分は純利益 入居後の賃料減額・きほんのきほん

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オフィス賃料の減額交渉は入居時だけじゃない!

起業して初めてのオフィス選び10のポイント ‐賃貸オフィス編のまとめ(後編)‐

大きな希望をもって創業し、登記も済ませ、あこがれのビルに堂々入居…してはみたものの、思うように収益が上がらず金策と経費削減に奔走する日々。起業家にとって避けたい事態だが、それほどではなくとも月々のオフィス賃料の支払いがきついと感じる経営者は少なくないのではないだろうか

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いうまでもなくオフィス賃料は純然たる経費であり、その削減分はすなわち純利益となる。であるならば、オフィス賃料の削減には営業努力と同等以上の力量を注ぐべきだろう。そこで今回は、入居後の賃料交渉についてまとめてみた。

賃料交渉は再契約・契約更新時が基本

賃料の交渉にあたる時期として最も一般的なのは、賃貸契約が満了して再契約を結ぶ前のタイミングだ。契約によっても異なるが、賃貸オフィスの契約期間は2年から5年ほどが基本。賃貸物件の契約形態として一般的な「定期借家契約」では、基本的に契約更新はできず、満了後も引き続いて入居する場合は入居契約をあらためて締結する(=再契約)こととなる。この再契約の交渉時には当然賃料も議題となるので、減額交渉の場としておおいに活用しよう。

減額請求のタイミングは、オーナーにとっては値上げ請求のタイミング

とはいえ再契約や契約更新は、オーナーにとっては値上げ請求のタイミングでもある。入居契約時に定めた月額賃料は、基本的に契約満了まで有効だ。普通借家契約ならオーナーの同意があれば契約期間内であっても賃料を変更できるが、法律では、定期借家契約でなおかつ賃料改定が不可となっている場合は交渉も賃料の変更もできない。これはオーナーにとっても同じことで、オーナーが賃料値上げを要求できるのも再契約の交渉時のみ。満を持して望んでくるだろう。だからこそ、定期借家契約の入居者にとって再契約時は数年に一度の大勝負なのである。契約更改に望むプロ野球選手の心境で望んでほしい。

ちなみに「普通借家契約」は入居期間の「更新」が可能で、基本的には賃料交渉も入居期間中にできる。また入居者が賃貸契約の更新を望む場合、法的根拠や正当事由のないかぎりオーナーは拒むことができない。一方、更新のできない「定期借家契約」は、退去してほしい入居者に対してオーナーが再契約を拒むことができる。賃料交渉がこじれて退去を要求される、なんてことはないだろうが、基本的に立ち退き料は支払われないので注意しよう。

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何を賃料減額の根拠とすべきか

さて賃料減額を要求するためには根拠が必要だが、実はこれは借地借家法で定められている。要するに、不動産を取り巻く環境に変化があり、当該する物件の現在の賃料が現況に合わなくなっていることが必要ということである。もちろんオーナーの鶴の一声で決まってしまう場合もあるが、仮に裁判となった場合、最終的な賃料の額を決定するのはオーナーではなく裁判所。その際はオーナーにとっても入居者にとっても不本意な額となる可能性があるということを覚えておこう。

賃料減額請求の根拠として認められた例としては

・土地や建物の価格が下がった

・土地や建物の固定資産税が下がった

・経済環境が悪化した

・周辺の賃料相場との差が大きい

などがあるので、これも覚えておこう。

業績悪化ばかりが賃料減額の理由ではない

賃料交渉の根拠としてよく使われる「業績の悪化(=売り上げが思わしくなくて…)」。これも交渉のカードとして使えなくはないが、「では賃料の安いところへ移ってください」といわれてしまえばそれまでだ。

しかしオーナーにそう言わせないのが交渉術。特に昨今、景気上向きといわれている割に既存中小ビルの稼働率・賃料はそれほど上がっておらず、オーナーとしても強気に出にくい状況が続いている。近隣の賃料相場から話を持っていってもいいし、あるいはビルの管理や設備の不備を突いてもいい。築年数や立地、規模、設備も含めてビルは千差万別であり、交渉の糸口はいくらでも見つかるはずだ。

代替条件を用意して少しでも成果を得る

糸口が見つかったらそこから賃料減額交渉といきたいところだが、ここはもうひとつ、代替条件を用意しておくことをお勧めしたい。賃料減額が難しいとなれば、更新料でも保証金でもいい。何らかの成果を得るべく、あらゆる可能性を検討しておこう。

また昨今、賃料減額を売りにしたコンサルタントが増えているが、入居者として賃料交渉にあたれるのは、入居企業の従業員かその依頼を受けた弁護士のみ。それ以外は非弁行為となるので注意してほしい。なかには従業員を装って交渉する、あるいは弁護士の名義だけ借りて交渉するといったコンサルタントもいるが、賃料の減額は違法行為を犯してまで行うものではない。悪質なコンサルタントに上前を分け与えるよりも、他にやることがあるだろう。

オーナーとの良好な関係構築がを交渉を成功に導く

賃料減額交渉を納得した形で終えるためには、日頃からオーナーとの良好な関係を構築しておくことも重要だ。賃料減額は入居者としての正当な要求ではあるが、それも双方が認める根拠があってこそ。一歩間違えればクレーマーとして認識されてしまう恐れもあるのである。退去を匂わすのは、強気に出られるよほどの理由がないかぎり逆効果だ。なにより「このビルに長くいたい」という思いをオーナーに伝えること。そしてオーナーからも「この入居者には長く入居していてほしい」と思わせるような、優良テナントになっておくことだ。

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(監修:オフィス経営コンサルタント 久保純一
(編集:創業手帳編集部)

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