「ダメなら漁師に魚をもらえばいい」1日300円のドン底から4億円の資金調達へ。医療の世界を変えるリーズンホワイ代表 塩飽哲生氏インタビュー

創業手帳

「この地域は病院が患者を受け入れない」衝撃の一言から始まった起業ストーリー

(2017/05/02更新)

塩飽 哲生 (しわく てつお)
リーズンホワイ株式会社
資本:61,600万円
代表取締役社長
1978年5月6日生まれ(38歳)
福岡市出身
東京大学工学部、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
株式会社メディカルクリエイト(医療コンサルタント)を経て、2009年ペイシェント・ジャーニー合同会社、2011年リーズンホワイ株式会社を設立。2017年4月に4億円の大型資金調達を実施。

創業のきっかけは、ある「思いもよらない言葉」

ー創業に至った経緯はどのようなものでしたか?

塩飽:父親が医者だったこともあり、大学では安全医療の分野を研究し、卒業後も、医療コンサルの道に進みました。

病院の医療コンサルをした際に「病院の得意分野を絞り効率性を上げる」という改善プロジェクトをしたことがありました。

しかし、地域の救急隊の方から思いもかけない言葉を聞きました。

「この地域の病院は患者を受け入れてくれない」

良いと思ってやった改善が必ずしも地域の患者さんにためになっていなかったということに衝撃を受けました。
患者さんという需要と、病院の受け入れ態勢という供給が、分からないからそういうことになってしまう、ということに気が付きましたら。
そういう仕組みがないなら、それをつくろうということで起業しました。

でも自分で開発できませんから専門家に企画書を持っていって誘ったのですが、「予算は無いですけど絶対売れますから出世払いで」というやりとりを半年近く続けて、最後は情熱で押し切って作ってもらいました。

そして地域医療の可視化システムである「ストラテジー」が生まれました。ストラテジーには全国の1,800 病院(現在は約3,000病院)の診療データが入っています。

そして患者さんにより近いサービスとして「ユアホスピタル」をリリースしました。プロ向けのストラテジーを、患者さん側が知りたい情報に整理し直して使いやすくしたものです。

ー起業当時に大変だったことはありましたか?

塩飽:以前、鎌倉に住んでいて東京に通っていました。
今の会社の前身の会社の時ですが、銀行融資の600万は減ってしまうし、売上も上がらない。1日300円で暮らしたり、あまりに仕事が無いので、コンビニか漁船の掃除のバイトでもしようかと思ったこともありました。もう漁師さんから魚をもらえれば生きていけるから、と開き直るくらいのギリギリの状態でした。

そして会社も軌道に乗り、出資も集まり、東京で暮らし始めた頃、週末にリラックスのつもりで鎌倉に行ったらジンマシンが出たのです。
病院に行ったらストレスが原因だと言われました。鎌倉が大好きなのに、なぜ鎌倉で海風に当たると体が覚えているのかジンマシンが出てしまいます。

起業当時は本当に大変でしたね。

ー経営していくうえでのビジョンや、大事にしていることはありますか?

塩飽:そうですね、我々は、地域の患者様が本人や家族の納得できる医療を受けられる社会をつくるため、一般公開された医療ビックデータを活用したITサービスを提供しています。

「医療×ITで患者様と専門医をつなぎ、全人類の寿命を1秒伸ばす」ことを使命にしています。

団塊の世代が後期高齢者となる2025年、医療ニーズがピークに達すると予測されていますが、現場の人材不足は本当に深刻です。

リーズンホワイはITで、患者様をはじめ、医師、医療関係企業、医療制度をつくる行政の方など、医療を取り巻くすべての人にとって最適な医療環境の実現に貢献していきます。

退路を断って、追い求めてこそ結果が出る

ーメンバーをどうやって集めていきましたか?

塩飽:ビジョンを語って集めることでしょうね。
個人的なつながりや紹介が多いです。最近ではホームページからの問い合わせや、紹介も昔に比べると多くなりました。

起業家向けに採用のコツをお話ししますね。
それは、担当付けることです。

会社をやると人事・総務が重要ということを実感します。

人事担当がいないと結局、忙しいので後回しになってしまい、安定しないのです。担当をつけてから安定して人が入り、エンジニアも今年に入って半年弱で10人ぐらい内定や採用ができました。

なんでもそうですが、あるテーマについて24時間365日の考える人、逃げ道を断って、追い続ける人がいてこそ成果が出てくると思います。

ー今回の出資を受けての抱負を教えてください。

塩飽:ありがたいです。そして重みを感じます。1年前に大きな出資を頂き実行して結果が出てきて、今回の出資につながりました。
2017年度は1.67億円、2019年に株式上場、2020年には16.5億円の売上の会社にしたいです。

ー今後はどのように事業を展開されていきますか?

塩飽:今回出資頂いた新サービスをしっかり根付かさせる、ということになります。日本の市場は大きいですが、将来的には東南アジア、インドも見てます。

ー最後に、起業家へのメッセージをお願いします。

塩飽:会社ですから売上・利益をとにかく稼がないと生きていけないという状況も多いと思います。
多くのベンチャーは目先の売上を作らないといけないですが、コンサル、受託でお金を稼ぐわけです。

でも、売上にはなるけれども、自分がやりたいことがあったから起業したのではないでしょうか。
もし自社サービスをやりたいなら、やはり投資家に行って、お金を集めて、事業計画で勝負するという考え方もあると思います。

あとは、株式を30%ずつみたいな責任とリスクがあいまいな資本構成は避けたほうが良いと思います。
誰かがリスク負う。尻をふけるひとがリーダーだと思います。

自分の場合は、まずいときに仕事が降ってくる、予想もつかない話が来る、常に誰かが助けてくれました。

自分のビジョンの実現のために責任を明確にして、果敢にトライするという姿勢が必要ではないでしょうか。

(取材協力:リーズンホワイ株式会社/塩飽 哲生
(編集:創業手帳編集部)

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