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リーン・スタートアップとは?

リーン・スタートアップ(Lean Startup)とは、直訳すると「筋肉質あるいは痩せ型のスタートアップ」で、無駄なく新しいビジネスモデルを生み出す組織のマネジメント手法を意味します。
スタートアップが新しいビジネスを立ち上げる際に、顧客のニーズに応える最小限の製品やサービスを提供し、顧客の反応を計測しながら改良を図ることを繰り返す手法です。

リーン・スタートアップの起源やプロセスについてくわしく説明します。
はじめに、リーン・スタートアップは2008年にアメリカの起業家であるエリック・リース氏によって提唱されました。エリック氏はインターネットのコミュニケーションサイトを起業した経験から、無駄なく新しいビジネスを生み出すモデルとして、リーン・スタートアップをつくりました。

また、さらなる起源としては、1988年にアメリカのマサチューセッツ工科大学の論文にて、自動車メーカーのトヨタが編み出した生産管理システムであるトヨタ生産方式を体系化したものが、「リーン生産方式」という呼び名で紹介されました。
トヨタ生産方式は無駄を徹底的に排除して生産性の向上を目指すもので、次の2つの考え方を柱としています。
・「ジャスト・イン・タイム」:「かんばん」と呼ばれる商品管理カードを用いて、後工程の要求に合わせて、必要なものを必要な時に必要な量だけ生産する方式です。生産を小ロットにすることができるため、生産性の向上が図られます。別名でかんばん方式とも呼ばれます。

・「自働化」:「アンドン」と呼ばれる作業情報を表示する装置を導入し、異常が生じた際には機械を停止して、徹底的に原因究明を行う方式です。これにより生産過程での問題の顕在化を図られます。

このように、トヨタ生産方式は「生産性の向上」と「問題の顕在化」によって、無駄を徹底的に排除するものと言えます。この考え方をスタートアップの製品やサービス開発に応用したものが、リーン・スタートアップです。

次に、リーン・スタートアップの具体的なプロセスは次の4つとなります。
第一は「仮説の構築」で、ターゲットとする顧客とそのニーズを想定して、どのような製品やサービスが受け入れられるのか仮説を立てます。
そして、その仮説に基づいた製品やサービスを、なるべく費用と時間をかけずに開発します。このプロセスで開発する製品やサービスは、仮説を検証するために必要な最低限の機能を備えた試作品として「MVP(Minimum Viable Product)」と呼びます。

第二は「仮説の計測」で、仮説に基づいたMVPを少人数の顧客に提供して反応を観察します。このプロセスでは、MVPによる必要な最低限の機能に対する顧客の反応へフォーカスすることが重要となります。

第三は「学習」で、計測の結果に基づいてMVPを改善していきます。少人数の顧客の反応やフィードバックから、製品やサービスに関する学びを得ることになります。

第四は「意思決定」で、顧客から得たフィードバックに基づいて、次に何を行うかを意思決定します。顧客のニーズや評価が十分にあれば、本格的な開発に移ることになりますが、ニーズはあっても改良の必要があれば、MVPの試作と計測を繰り返します。
あるいは、そもそも顧客のニーズが見込めないなど、最初に立てた仮説に誤りがあると判断した場合には、仮説そのものを見直して方向性を変えることとなります。このような方向性の見直しを「ピボット」と呼びます。

以上の4つのステップを1つのサイクルとして繰り返すことで、新しい製品やサービスを無駄なく生み出す手法がリーン・スタートアップです。
従来の方式では、新しい製品を費用や時間をかけて開発したものの、顧客のニーズがなく損失が出るものもあります。しかし、リーン・スタートアップでは、仮説に基づいて費用や時間を抑えながら効率的に検証や改良に取り組みますので、無駄なく損失も最小限となることが特長と言えます。

ここまでで、リーン・スタートアップについての起源やプロセスについて説明しましたが、まとめると次の通りとなります。
・リーン・スタートアップは2008年にアメリカの起業家エリック・リース氏によって提唱された、無駄なく新しいビジネスモデルを生み出す組織のマネジメント手法である。
・起源はトヨタ生産方式で、生産性の向上と問題の顕在化によって、無駄を徹底的に排除する考え方に通じる。
・プロセスは4段階で、仮説の構築→仮説の計測→学習→意思決定を1つのサイクルとして繰り返し、費用や時間を抑えながら無駄なく製品やサービスを開発するものである。

また、リーン・スタートアップの考え方の基礎となる「顧客開発モデル」について補足します。
顧客開発モデルは、顧客に本当に必要とされるものをつくるためのステップを体系化したモデルです。スタートアップとして費用や時間をかけて顧客に必要とされないものをつくらないよう、顧客に重点を置きながら次の4つのステップで進捗管理を行う手法です。
(1) 顧客の発見:顧客に必要とされるかの検証を行う。顧客の問題に対する解決策が提供できれば次のステップに移る。
(2) 顧客の検証:実際に市場に受け入れられるかの検証を行う。顧客の問題に対する解決策が製品に落とし込まれ、市場にも受け入れられれば次のステップに移る。
(3) 顧客の創出:顧客増加の検証を行う。
(4) 組織の構築:組織を構築し、生産体制を整える。

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