正しい家賃相場と実質賃料でオフィスを選ぶ4つのステップ

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オフィスは正しい家賃相場を知ったうえで実質賃料で比較検討しよう

正しい家賃相場と実質賃料でオフィスを選ぶ4つのステップ

(2015/1/23 更新)

業態や取扱い品目にもよるが、一般的な企業において、売上に占めるオフィス賃料の割合は大きい。飲食業では10~12%小売業では3~8%程度だと言われている。

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同じ条件の物件であれば家賃が安いほうが良いのは言うまでもない。では、何をもって「安い」と判断するのか?。今回は、妥当な家賃・賃料を見極め、おトクにオフィスを借りるためのつのステップについて考えてみたい。

1.公開されている家賃相場や募集賃料に誤魔化されない

オフィスや貸事務所の家賃を判断する材料としてまず浮かぶのが、近隣エリアのオフィスの「家賃相場」だ。ネットで検索すると、エリアごとの家賃相場を掲載した大手仲介会社などのサイトに行き当たるが、実際にエリア内の企業に家賃を尋ねてみると、おそらくほとんどが「相場より安い賃料で入居している」と答えるだろう。

なぜみんな相場より安いのか? その理由は、公表されているデータの多くが「募集賃料」をもとにしていることによる。表向きの「募集賃料」と実際の「契約賃料」に差がある(もちろん契約賃料のほうが低くなる)のは、オフィスを借りたことがなくても周知のとおりだろう。

そのためネットなどで調べた家賃相場のみを基準に物件を選び、「相場だから」といって賃料交渉もせずに契約してしまうと、実際は他の物件より高めの賃料を払うことになってしまう。

2.正しい家賃相場は足でかせぐ

正しい家賃相場は足でかせぐ一般住宅と異なり、前述のようなオフィスや貸事務所などを探せる物件検索サイトの多くは、募集物件の家賃を非公開としている。なぜかといえば、事業用物件の家賃は、同じビル内であっても契約内容・契約時期・条件などによって大きく変わるためだ。

なかでも店舗物件は水ものといわれるほど変動が激しく、現在の募集賃料を公開してしまうと既存の入居者から賃料見直しを要求されてしまうことも非公開となっている理由だ。

そのため入居時の賃料交渉が重要になってくるが、「正確な家賃相場」はその交渉材料となる。より正確な家賃相場を知るためには、やはり自身の足で情報収集するほかはない。そのためにも、可能な限り多くの仲介業者をまわるべきだろう。

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3.月々の支払よりも実質賃料で比較検討する

さて交渉段階となって、オフィス賃料や保証金などの入居条件を提示された際、覚えておきたいのが「実質賃料」という考え方だ。これは毎月の「賃料」以外に「保証金」や「礼金」、「共益費」などオーナーに支払う金額すべてを合算し、1カ月あたりの支払い家賃にするといくらになるかを判断する計算方法である。

これで家賃を計算すると表面上の賃料のみの多寡とはまた違った結果になることも多い。

オフィスの賃料は一般的に「坪単価」で表記されるが、例えば30坪で坪単価が月額9,000円の物件と、同じく30坪で坪単価10,000円の物件があったとする。

9,000円/坪の物件の賃料は270,000円/月。

10,000円/坪の物件の賃料300,000円/月。

→ 毎月3万円、年間では36万円、3年契約だと108万円もの差がでる。

ではこれに、礼金保証金(敷金)なども入れて考えるとどうだろう。

30坪で、1坪あたり9,000円。礼金2か月、保証金6か月の物件に3年間入居すると、毎月の実質賃料は、

( 9,000[円/坪] × 30[坪] × 36[か月]+ 9,000[円/坪] × 30[坪] × 2[か月] + 9,000[円/坪] × 30[坪] × 6[か月] )÷ 36[か月] = 330,000円

30坪で、1坪あたり10,000円。礼金なし、保証金2か月の物件に3年間入居すると、毎月の実質賃料は、

( 10,000[円/坪] × 30[坪] × 36[か月] + 10,000[円/坪] × 30[坪] × 2[か月] )÷ 36[か月] = 316,667円

→ 賃料のみの額面上は坪当たり9,000円のほうが安くても、保証金の負担を含む実質賃料を、実際に負担すべき家賃として考えると逆転する。

さらに、入居期間の長短によっても実質賃料は変わってくる。ためしに前述の条件で、入居期間を倍の6年に延ばすとどうだろうか?

30坪で、1坪あたり9,000円。礼金2か月、保証金6か月の物件に6年間入居すると、毎月の実質賃料は、

( 9,000[円/坪] × 30[坪] × 72[か月]+ 9,000[円/坪] × 30[坪] × 2[か月] + 9,000[円/坪] × 30[坪] × 6[か月] )÷ 72[か月] = 300,000円

30坪で、1坪あたり10,000円。礼金なし、保証金2か月の物件に6年間入居すると、毎月の実質賃料は、

( 10,000[円/坪] × 30[坪] × 72[か月] + 10,000[円/坪] × 30[坪] × 2[か月] )÷ 72[か月] = 308,334円

→ 入居期間が延びると坪あたりの賃料が安い方が実質賃料も安くなる。

実際にはこれ以外に共益費や、場合によってはフリーレント(一定期間無料)や光熱費も反映させるために、家賃はより複雑な計算になる。また、保証金が返還されるという前提で計算すれば、結果はさらに変わってくるので注意が必要である。

額面上の「賃料」だけで判断せず、「トータルの支払額 = 実質賃料」で計算するクセをつけておけば、会計上はもちろん入居後の家賃交渉に役に立つはずだ。

4.家賃交渉では主導権を握る

オフィスや賃貸事務所の賃貸契約書にハンコを押す前には、納得いくまでしっかり家賃交渉をしておこう。ポイントは、家賃交渉の主導権を握ることだ。本当におトクな賃料か否かは借りる側が決めるという意識をもって交渉した上で契約書の印鑑を押す。これこそオフィス選びの鉄則である。

最終交渉の場にいるあなたは、いくつかの不動産仲介業者に足を運び、正確な家賃相場を押さえ、あらゆる条件で実質賃料をシミュレーションして十分に物件を比較検討しているはずである。

賃料を検討するうえで考慮すべき要素は、これまで述べてきたように多岐にわたっているが、ポイントを押さえておけば、自信をもって家賃交渉に臨むことができるだろう。

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(監修:オフィス経営コンサルタント 久保純一
(編集:創業手帳編集部)

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