日本最大規模の司法書士法人を率いる女性社長の仕事の哲学

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司法書士法人コスモグループ代表・山口里美氏特別インタビュー(その1)

(2015/11/30更新)

女性司法書士が経営する司法書士法人として日本最大規模を誇る司法書士法人コスモグループの代表を務める司法書士山口里美氏。「法律業はサービス業」という確固たる信念を持ちながら今に甘んじることなく前進し続ける山口氏ですが、開業時は女性であることから生じる苦労などの連続だったそうです。氏はどのように苦難を乗り越え、現在の位置に辿り着いたのか。その道程と仕事の哲学を伺いました。

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山口 里美(やまぐち さとみ)
司法書士法人コスモグループ代表。行政書士法人コスモ代表社員。株式会社コスモホールディングス代表取締役。フランチャイズアドバイザー。大人片づけインストラクター。全国司法書士女性会理事。全国司法書士法人連絡協議会理事。東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・広島の全国主要都市に拠点を構え、不動産登記、企業法務、裁判事務、相続関係手続きに関する法律サービスを広く提供し、女性司法書士が経営する司法書士法人としては日本最大規模を誇る。また、「大人片づけインストラクター」として整理収納や業務の効率化に関する講演や、自分らしく生きるための提案をするエンディングノートの執筆・講演にも携わる。

苦難を乗り越えて全国展開へ

ー元々は、ツアーコンダクターをなされていたのですね。

山口:はい。子供の時からキャビンアテンダントに憧れていたのですが、その夢が敗れてしまい、二十歳の時に旅行会社に就職しました。

そこで旅行業務取扱主任者(現旅行業務取扱管理者)という資格試験について知ることになるのですが、それを知ったことにより法律が面白いと思い、行政書士試験にも挑戦したところなんと1回で合格。

第一志望であったキャビンアテンダントになるという夢に敗れたトラウマがきっかけで、さらにステップアップとして司法書士を目指して会社を辞めました。

ーその後はどうなされたのですか?

山口:それからは、昼間は法律事務所に勤務し、夜は専門学校に通うという生活を続け、3年かけて司法書士の資格を取得しました。

その後は司法書士の先生の下で修行していたのですが、ある日父の命のリミットが3ヶ月しかないことを宣告されました。

そのため、父に事務所を持った姿を見せてあげたいと強く思い、開業に至りました。

ー開業後はどのように事業展開をなさったのですか?

山口:平成9年に開業してから6年間は個人事務所として仕事をさせて頂きましたが、平成15年に司法書士の法人化が認められるようになったことをきっかけに、法人化しました。

開業当初は本当に仕事がなくて非常に苦労しました。

しかし、電話帳から税理士事務所をピックアップして、開業祝いに頂いた自転車に乗って半径20kmもの範囲で飛び込み営業などを毎日のように行っていました。

ーそうとう広いですね。

山口:はい。

そうしているうちに、あるセミナーの講師の依頼を頂きました。当時は講師をするような司法書士はいなかったのですが、この仕事をきっかけに起業家セミナーや、銀行での新人研修なども承るようになりました。

すると、新人研修で教えた方が全国の支店に配属され、そこでもお声がかかって各地の支店でも研修をさせて頂くようになり、全国で仕事をさせて頂くという転機に繋がりました。

そのため、大阪で立ち上げた事務所の本店を東京に移し、名古屋や福岡や広島、そして仙台でも事務所を開設しました。

ー全国展開をしていくことを、開業当初は考えていらっしゃいましたか?

山口:考えていなかったですね。

開業理由は、「父に事務所を見せてあげたかった」ということでしたから。

しかし、業界に入ってみて、「いかに先生業というものがサービスと程遠いか」ということを実感するわけです。

当時の司法書士業界は、9時〜5時の間でしか働かない、お客様を事務所に呼びつける、上から目線で難しいことを言うというのが当たり前でした。

私は元々ツアーコンダクターをしており、お客様に喜んでもらうことが本当に好きでしたし、この業界での経験もなかったのでそれを逆手に取り、「主流とは逆のことをしてみよう!」と考えるようになりました。

ー具体的にどのようなことをなさったのですか?

山口:例えば、お客様のところには私から伺い、法律をわかりやすい言葉で説明し、365日いつでも連絡がつくように準備をしておく、といったことを心がけて仕事をしていました。

しかし、最初のうちは女性だからという理由で信頼を得ることが非常に困難でした。

司法書士業界で女性が1割しか占めない中で私が仕事をすると、「女の子なのに大丈夫?」とか「先生はいつ来るの?」と言われました。

しかし、一つの仕事に真面目に取り組んでいくと、「女性なのに結構やってくれるね。」と言って認められるようになり、マイナスだった印象が段々とプラスになっていきました。

このようにして、徐々にお客様からの信頼が寄せられ仕事の幅が広がり、全国展開をするようになっていきました。

常に全精力をかける

ー生懸命仕事をして一つのチャンスを物にすると次につながっていくということですね。

山口:そうです。

「チャンスの女神に後ろ髪はない」という言葉の示す通りに、旅行業務取扱主任者試験の時も開業した時も、「やろう!」と思った時はすぐに実行するようにしてきました。

そのような心がけを持ちながら働くと、必ず誰かが見つけてくれます。

そうしてトライアンドエラーを繰り返していくうちに様々なお客様から仕事を頂くようになりました。

ーそうやって、目の前のチャンスを掴んでいくんですね。

山口:はい。また、これは私が常日頃心がけていることですが、一つ目の仕事は全力で行うようにしています。

出来るだけ速く正確に仕事を行うことで、お客様との信頼関係を構築し、次の仕事につなげるようにしています。

5分間のプレゼンテーションの仕事でも、1時間かかる仕事でも、全精力をかけて仕事をすることで、見て下さる方にはわかって頂けると考えております。

ー他に心がけていることはありますか?

山口:他には、仕事をする上では整理整頓を心がけています。私は「大人片づけインストラクター」としてセミナーや講演会なども行っており、仕事をする上で一番もったいない時間というのは「物を探す時間」だと考えています。

そのため、社内でも、「不要な郵便物は届いた段階で捨てる」、「1年間使っていない書類は処分する」といったルールを設けて業務効率化を心がけています。

ー常に全力で仕事に邁進する山口さんですが、仕事とプライベートの両立はどのように行っていますか?

山口:私は365日仕事のことを考えていますので、正直仕事とプライベートは一緒になってしまっています。

8年位前から、毎朝5時に起きて半身浴をしながら本を読むようにしています。

また、週末にボクササイズをしたり、時間があればフィットネスクラブで走るようにしています。

1週間頑張った後で、何も考えずに集中して運動すると体がほぐれてとてもリラックスできますね。あとは、休暇が取れたら旅行に行くようにしています。

ーワークライフバランスについては、どのようにお考えですか?

山口:若干、プライベートに関しては犠牲にしなければならないものがあるかもしれません。

例えば、私は子供を産んでいません。しかしながら、昔と比べて今は女性が仕事に取り組みやすくなりましたので、もっともっと自由にチャレンジされるべきだと思います。

例えば私どものオフィスでも様々な働き方を実践するために、産休・育休制度を取り入れています。

せっかく取得した司法書士の資格を長く活かせるように、お子さんを産んで1年半休んだとしても復帰出来るような体制を整えています。

ー女性ならではの制度ですね。

山口:はい。これまでに8名がこの制度を利用しましたが、復帰率は100%でした。

このように、女性がもっともっと働きやすい環境を作っていきたいと考えています。

ーこのような環境作りに賛同する方々が増えていっているんですね。

山口:そう思います。

こうして多くの女性が働くようになり、女性経営者も増えてくるわけですが、私は女性の方々にはロールモデルを見つけて欲しいと思います。

男性のロールモデルは結構いらっしゃったと思うのですが、女性のそれはあまりいなかったと思います。

そのような方がいたら、起業や仕事をする上で良い方向に働くのではと思います。

ー山口さんには、そのような人はいましたか?

山口:私はいなかったですね。

そのため、ビジネス書を沢山読んだり、様々な方にお会いして実際に話を聞くということを心がけていました。

やりたいことをやる!

ー最後に、女性起業家へアドバイスをお願いします。

山口:何かをやりたいと思ったら、まずはやってみて欲しいと思います。

ダメだったらまたやり直せばいいのですから。

「出来るか出来ないか」ではなく、「やりたいかやりたくないか」で判断し、やりたければ一歩を踏み出して欲しいと思います。

私自身、大学は法学部を出ていませんが、「やりたい!」と思った自分の心の声に従ってこれまで走り続けてきました。

私の経験から、女性は緻密で、仕事を真面目に取り組む姿勢があり、それが強みだと思っています。

女性ということで最初はマイナスに受け取られることもあるかもしれませんが、目の前の仕事に一生懸命取り組むことで信頼を得て、プラスに変えていくことが出来ます。

「止めたほうがいい」など、周りの人は色々と忠告してくると思いますが、その人たちは自分の人生を代わってはくれません。

自分の人生を歩むのはやはり自分しかいないのです。そのため、是非最初の一歩を踏み出してみて下さい。

(編集:創業手帳編集部)

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