30億のファンドや500Startupsの誘致も!神戸市長に聞く、起業家支援策とは

創業手帳

『若者に選ばれるまち』神戸へ

(2016/08/05更新)

来年で開港150年となる、歴史と伝統のあるみなと街、神戸。日本唯一の医療産業都市としても発展し続けているが、2020年に向け、より新しい発展、『若者に選ばれるまち』を目指し、本格的なスタートアップ支援事業をスタートした。今回は、神戸市を率いる第16代市長、久元喜造氏に、具体的な施作や創業支援に対する思いを語って頂いた。

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久元 喜造(ひさもと きぞう)
1954年2月、神戸市兵庫区生まれ、高校時代までを神戸で過ごす。東京大学法学部卒。1976年に旧自治省に入り、総務省選挙部長、自治行政局長などを歴任。2012年11月、神戸市副市長。2013年11月より第16代神戸市長に就任。都心三宮の再開発や本格的なITスタートアップ支援など、「神戸に元気を取り戻す」をテーマに、新たな政策展開に腕を振るう。
〇横顔
神戸の路地裏を歩き、見つけた居酒屋に立ち寄るのが趣味。妻・祐子さんはモーツァルトの演奏、研究で知られるピアニスト。
ー神戸市における創業支援の概要を聞かせて下さい。

市長:まず、今年の1月末に「スタートアップオフィス事業」を開始しました。IT関連産業の集積を図るためには、優秀な起業家を呼び込む必要があります。彼らが活動を行うための拠点と重点支援プログラムを提供し、スタートアップ支援をするというものです。

選ばれた5チーム程度の起業家候補に、3か月の重点的な支援を行い、プログラム成果発表の場であるデモデイを設定します。投資ファンドの皆さんや、ビジネスマッチングを考えてくださる企業の皆さんに聞いていただいて、資金調達や次のステップにつなげます。この一連の支援を、今後も繰り返して行きます。

日本初!世界的注目を集めるシリコンバレーの起業家育成団体、500 Startupsのプログラム実施

もう一つは「500 Startups 神戸プレアクセラレーター」。これ神戸市と500 Startupsとの連携プログラムです。シリコンバレーでのスタートアップ支援経験の豊富な、500 Startupsスタッフが来神し、メンタリングや講義などを行ったあと、デモデイを開催します。

これが実現したきっかけは、私が去年の6月に西海岸に出張に行った際、500 Startupsのオフィスを偶然訪問したことにあります。その後、職員のみなさんが継続的なアプローチをし、神戸での実施が実現することになりました。

500 Startupsとは…
シリコンバレーを拠点に世界50ヵ国以上1500社以上に出資を行う世界で最もアクティブな、シード期を対象とした投資ファンド。代表のデイブ・マクルーアはPaypalやFacebookとの共同ファンド、個人投資家などの経験を経て、同社を創業。

市役所でのIT専門人材の起用

また、IT分野の専門的な人材を神戸市役所で起用し、政策としてのスタートアップ支援の強化をはかります。例えばこの4月に、チーフイノベーションオフィサーという特別職をおいて、コードフォージャパン代表理事の関治之さんを一年間の任期で任用しました。

外からの新しい考え方や発想、手法を取り入れてもらう狙いです。こうした、支援する側の基礎強化と共に、新たなスタートアップ支援を次々立ちあげていこうとしています。

「若者に選ばれるまち」神戸

ーなぜそういった起業支援の取り組みを始めたのでしょうか

市長:一つ目の理由は、神戸を「若者に選ばれる街」にしたいということです。神戸港が開港して来年で150年になりますが、神戸はその長い歴史の中で、産業、文化、色々な人々に至るまで、海外から新しいものを吸収しながらチャレンジしていった、常に若々しいスピリットを持っている街なのです。

しかし、どこの都市もそうですが、現在高齢化や人口減少が進んでいます。その中で、とにかくチャレンジ精神を持った若者に神戸に来てほしいのです。そこからビジネスをスタートさせるということは、神戸の、常に挑戦するDNAにふさわしい。

高齢化や人口減少という厳しい現状の中で、神戸の持つそのDNAを活かして、未知の世界に挑戦をしていけるよう、スタートアップに着目しました。

神戸から全国へ、そして世界へ

市長:もう一つの理由は、新しいものに挑戦したいということです。医療産業都市としての神戸も発展し続けていますが、さらに挑戦し、常に進化を遂げていきたい。伝統的なものづくりの街である神戸において、そのものづくりの内容も、時代に応じて変化しています。

神戸に拠点を置く企業の動向の例として、神戸製鋼では、鋼炉を間もなく廃止して、石炭火力発電事業に切り替えようとしています。三菱重工でも、商船建造事業から撤退して、国産旅客機MRJの部品を作る事などに特化していっています。

このように、新しいものに、常に挑戦したいのです。それを是非、若者たちに見つけてもらいたい。神戸に有能な若者に集まってもらって、ここ神戸から全国へ、そして世界へとはばたいてもらいたいという思いです。それこそが、スタートアップ支援に力をいれる大きな理由です。

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神戸をスタートアップの拠点に

ー起業支援によって、具体的にどのような街づくりを目指されていますか?

市長:神戸がスタートアップの日本を代表する拠点になればと考えています。我々が行っている起業支援は、神戸でビジネスを展開してもらうこと自体が目的ではなく、神戸を起点にして他の地域や世界で活躍してもらうことが目的です。

神戸発の人材が世界中に羽ばたいていくというのは夢がある話ではありませんか。そういう夢が持てる、可能性の大きな都市だというステータスを獲得したいのですよ。

ー具体的に今後どういった取り組みを考えていらっしゃいますか?

市長:色々とありますが、まずは『神戸スタートアップオフィス』を今後も継続して行っていくということですね。ほかには、様々な分野の方が語らうための交流型サロンを神戸に新しくつくる予定もあります。

総額30億円の投資ファンド、『神戸経済元気ファンド』

市長:そして、もっと幅広く事業の立ち上げを支援するための仕掛けを構築します。神戸市や神戸市産業振興財団も出資しますが、民間企業のみなさんから総額30億円の出資を募る『神戸経済元気ファンド』です。

成長産業を中心に、幅広い分野を投資対象としています。たとえば現在、神戸市では特に水素プロジェクトに力を入れています。

これは、未利用のオーストラリアの褐炭から純粋な水素を作りだし、それを液体水素にして運搬するというものです。水素運搬船は川崎重工が開発しており、その技術を応用して日本初の液体水素運搬船を作ります。その陸揚げ施設を神戸で作り、液体水素が神戸から国内に運ばれて行くことになります。

今、水素エネルギーの利活用というのが国家プロジェクトとして行われているのですが、これが本格的に稼働すれば、神戸市は決定的に有利な位置に立つことができるのです。そんな神戸で水素を使った新しいビジネスの展開に大きな可能性があるのではないかと、メインの投資対象分野にもしたいと考えています。

その他の投資対象として、航空機関連や、ポートアイランドにある日本最大規模の神戸医療産業都市を基盤とする、医療・健康関連があげられます。その他にも、生活文化に関係するファッションや食、観光・インバウンドに関するものなどがあります。このようなものを投資対象にして、新しいビジネスの立ち上げを資金面で支援しようとしています。

ー最後に、起業家の方々に向けてメッセージをお願いします。

市長:是非神戸に来てください!神戸は、山と海、その間におしゃれな街並みが広がる美しい都市です。その上グルメの街でもあります。「神戸ビーフ」だけではありませんよ。例えば、神戸の海でもあがる、瀬戸内の海の幸はすごく豊富で味が素晴らしいし、新鮮な食材で作られる様々な料理は格別です。また、神戸は実は、大きな農業都市でもあります。野菜も採れるし、花も作られている。

また、地元の素材を活かした神戸のスイーツというのも大きな魅力です。グルメも、アートシーンも含めて、神戸に来れば、イマジネーションが沸くと思います。神戸に来て、疲れた神経を休ませたり、東京とはまた違った刺激を得て、新しい発想をぜひ生み出してください。

(取材協力:神戸市)
(編集:創業手帳編集部)

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