レジのシステムに革命!「Bakery Scan」開発秘話。株式会社ブレインインタビュー

創業手帳

「Bakery Scan」開発の株式会社ブレインに聞く、「最新技術の未来」と「諦めずやり抜く力」

(2016/05/31更新)

小売店、飲食店にとって欠かせないレジ打ち。このレジのシステムに革命を起こした会社があります。独自の画像認識システムで、バーコードが付いていない商品を瞬時に識別できる「ベーカリースキャン」を開発する「株式会社ブレイン」に、最新の画像認識技術でできること、仕事に情熱を注ぐことの大切さをお伺いしました。
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株式会社ブレイン 神戸 寿(かんべ ひさし)
1974年 松下電工入社、コンピューター導入に携わる。退社後、家業の材木店経営の傍ら地元のパソコン教室でプログラミングの講師も経験。「将来、自分はこれをやったと胸張って言えるものを残したい」という思いから1982年、ブレイン株式会社を起業。画像解析の技術に強みを持ち、2007年よりパン屋向けのレジシステムという新たな市場を開拓しつつある。
Q ベーカリースキャンとはどのようなものでしょうか?

A:「BakeryScan(ベーカリースキャン)」は2013年から展開している、バーコードが使用できない商品の精算業務に革命をもたらす次世代のレジシステムです。

例えば、パン屋での会計時、ベーカリースキャンを使ってトレイ上のパンをカメラで撮影し、その個数と種類を一括識別することができます。

10個程度であれば約1秒で識別し、明細を表示し瞬時に合計金額を計算します。

Q 導入する事によってどのようなメリットがありますか?

A:精算スピードアップによりレジ待ち行列を緩和でき、また、パンの名前や価格を覚えていない新人スタッフでもすぐにレジを担当することが可能になるので、店舗の効率が飛躍的に上がります。

自動学習機能を備えているので初期登録はとても簡単で、さらに使うほどに識別精度が向上していきます。

さらに、打ち漏れ、打ち過ぎが発生しないので会計時のミスが減ることや、混雑時のレジ操作に余裕ができるので、相対的に接客サービスの向上が見込めます。

Q 開発に至った経緯などを教えてください。

A:弊社が培ってきたシステム開発の実績が認められ、2007年、ある大手外食事業者から依頼を受けたことがきっかけです。

当時、その依頼元の会社はベーカリーショップの多店舗化を図っていたのですが、パンの値段が覚えられずに辞めてしまう店員が多くて困っていたそうです。

そこで、パンを値札付きの袋に入れて販売したところ、さらに困ったことに売上が半分以下になってしまいました。

「パンは袋に入れない方がよく売れる」「しかし、パンには値札をつけられない」
そこで、バーコードやRFIDタグを付けられない商品を、弊社の画像技術を用いて会計するシステムを作ろう!というところに至りました。

Q 現在までの導入実績を教えてください。

A:本社のある兵庫県を中心に、関西、関東圏にも展開中で、現在全国で約100台が稼働しています。

Q ものづくり日本大賞、GOOD DESIGN AWARDを受賞された後、それ以前と比較して大きく変化したものはありましたか?

A:ベーカリー、洋菓子業界への製品の認知度が上がったことはもちろん、テレビ局、新聞、雑誌等、メディアからの取材依頼が格段に増えましたね。

また、他業界からも画像認識技術に関する相談が寄せられるようになりました。

Q 開発時に苦労した点は何ですか?

A:画像認識の精度と時間短縮にはとても苦労しました。最初は8割ほどしか識別できなかったうえ、読み取りに23秒もかかるなどしたため、一旦は開発を諦めた程です。

まず、パンの焼き具合によって表面の色が変わることが難問です。色が違っても同じパンだと認識させるために、まずは自分で毎日パンを焼き続けることにしました。

半年がかりで焼き時間と表面色の関係を示す数式を導き出し、画像処理技術の改良やレジ台の工夫などにより、どうにか実用化にこぎつけました。

今やIT以上にパンの事情に詳しくなりました。笑

Q ベーカリースキャンシステムのパン屋以外の活用法としてはどのようなものが考えられますか?

A:実績としては、処方箋薬局や病院における薬剤鑑査や、X線自由電子レーザー施設SACLAの画像解析に使われています。

その他の活用法として考えているものとしては、社員食堂などのカフェテリアや生鮮食品、惣菜などのセルフレジ、回転寿司の品質管理などに今後展開していきたいと思っています。

Q 現在多くの会社が画像認識のシステム開発に取り組んでいますが、御社のシステムは他社に比べどのような特徴があるのでしょうか。

A:曖昧な物体の画像認識という分野においては、昨今ディープラーニング(深層学習)を用いたものが注目されていますが、高性能なコンピューターを要することや、初期学習に多くの時間を要することが製品化の妨げとなっているのも事実です。

ベーカリースキャンに内蔵する弊社の画像識別エンジンは、初期学習に要する時間が劇的に短く(アルバイトスタッフが1商品あたり約1〜2分で登録)、かつ、販売を続けることで更に識別精度が向上します。

学習量が不足している場合や、酷似する商品が存在する場合は、対象の商品が黄色い線で囲まれ、店員に注意を促すと共に、ワンタッチ操作で修正できるようになっており、大変利便性も高くお客様にも喜ばれています。

Q 今後のビジョンや展望を教えてください。

A:前述の「画像識別エンジン」をあらゆる分野に応用した製品を開発するとともに、海外展開も視野にいれていきたいと思っています。

Q 日本の起業家に対してメッセージをお願いします。

A:自分の仕事や商品がたまらなく「好き」であることが大切だと思います。

創業当初は10時から18時まではパソコンショップの店長、18時から21時まではパソコン教室の教師、22時から3時まではプログラマーという生活が数年続き、勿論、365日休みもありませんでした。

創業は資金わずか15万円でスタートして、必死だったことを覚えています。

しかし、好きなことをしているので本当に楽しい毎日でした。皆さんにも、自分が好きだと思えることをとことん突き詰めていってほしいと思っています。

自ずと道は開けます。

日本の高い技術力×情熱=「革命」

独自の技術開発と、自社の強みを最大限に生かし事業を推し進める株式会社ブレイン。その裏にある熱い思いに心打たれます。これからも飲食業界を始め、世界に革命を起こし続けていくことでしょう。

(取材協力:株式会社ブレイン
(編集:創業手帳編集部)

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