販路と商圏を拡大するためには!日本ヒューレット・パッカードの『EcoSystem』活用方法とは

創業手帳

『EcoSystem』実践事例!
株式会社アイネット × 株式会社YCC情報システム

(2015/09/15更新)

ベンチャー企業や中小企業は、たとえ良いアイディアがひらめいても資金不足や人材不足によってビジネス展開を断念してしまうケースがあります。
そういった企業のアイディアが埋もれてしまうのがもったいないと考え、日本ヒューレット・パッカード社が始めたのが、IT企業のためのスキーム『EcoSystem』です。

販路を広げたくても自分たちだけでは実現できない企業と、技術力はあっても商圏を広げられない企業が『EcoSystem』で出会い、新たなビジネスチャンスをつかむ。

そんなコラボレーションを実現させた株式会社アイネットの古橋健治氏、小森大輔氏と、株式会社YCC情報システムの江口美彦氏に話を伺いました。

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株式会社アイネット 営業部 担当課長
古橋 健治 (ふるはし・けんじ)

準大手ゼネコンを経てアイネットに中途入社し、直販営業として建設業界立ち上げを行う。
アウトソーシングやシステム開発、コロケーション、クラウドサービス等マルチ商材での現職営業。過去に電子申請コンソーシアム実証実験副委員長での執筆や講演、特許取得の経歴を持つ。

株式会社アイネット システム部 課長代理
小森 大輔(こもり・だいすけ)

1996年アイネット入社し、製造業・空輸業・サービス業など様々なシステム開発プロジェクトに従事。2011年に古橋と同部署となり建設業向けのシステム導入に携わり、現在に至る。

株式会社YCC情報システム 執行役員 東京支社長
江口美彦(えぐち・よしひこ)

国内大手コンピュータメーカーを経て1988年YCC情報システムに入社し、長年首都圏での受託開発を経験。
その後、組込ソフト開発事業、SI事業で活躍し、2015年から現職。

「販売経路を広げたい」と、「商圏を広げたい」とのマッチング

ー株式会社アイネット(以下アイネット)と株式会社YCC情報システム(以下YCC)のそれぞれの事業内容について教えてください。

アイネット:私たちは、東京・蒲田を拠点に開発技術者がソフトウェアの開発を行うほか、横浜にデータセンターを構えており、ソフトウェアを作るという文化と、最先端のクラウド技術を導入して新しいソリューションを市場に投入していくという2つの顔を持つIT企業です。

YCC:我々YCCは親会社が山形新聞社と山形放送というメディアで、地域のコンピュータ化を推進しようと1966年に立ち上げられた会社です。

山形では公共団体、民間企業、医療機関向けのソフトウェア開発、導入、運用などのSI事業や組込ソフトウェア開発を行っており、首都圏ではソフトウェアの受託開発をメインで行っています。2011年の震災後に自社商品を作るようになりました。

ー日本ヒューレット・パッカード社が主催する『IT EcoSystem Forum』にはアイネットが先に参加したそうですが、参加したきっかけは?

アイネット:横浜で第1回目の『IT EcoSystem Forum』が行われた際、日本ヒューレット・パッカードの方に誘われて参加させていただきました。

弊社は「Inet-Builder」というクラウド型の相見積システムを日本ヒューレット・パッカードとともにリリースしていましたが、これを全国展開できていないという問題を抱えていたのです。それが参加した一番の理由です。

ー『IT EcoSystem Forum』参加後、日本ヒューレット・パッカードとはどのような取り組みを行ったのでしょうか?

アイネット:その時点でまだ地方に「Inet-Builder」を展開できていなかったので、前々から東北・北陸をターゲットにしたいと思っていたことをお伝えして、そこから福島、宮城、山形の3県の地元の販売会社をご紹介いただきました。

ーその流れで山形のYCCを紹介されたのですか?

アイネット: はい。日本ヒューレット・パッカードの方たちと一緒に東北に行った際、YCCの仙台営業所に伺ったのがきっかけです。

ちょうどその前後に、横浜で行われていた自治体フェアにYCCの虹彩認証のシステムが展示されているということで、実際に見せていただきました。

私たちはもともと建設業向けの仕組みを持っていましたが、その仕組みを横展開したいと思っていたんです。

そこでYCCの虹彩認証のシステムを知り、入力デバイスとして面白いのではないかということなりました。

お互いの良さを補完し合えるのではないかと思い、そこから私たちとYCC、日本ヒューレット・パッカードの3社で事業拡大の模索を始めたんです。

顧客との新しいコンタクトポイントを生む

ーYCCは、アイネットと一緒にやらないかという話をもらった時はどう思いましたか?

YCC:弊社はもともとソフトウェア開発がメインでしたが、震災後に安否確認のサービスを作り、そこからいろいろな自社商品を作り始めたという経緯があります。

しかし、マーケットが分からず、なかなか顧客を見つけられない状態が続きました。

そんな時日本ヒューレット・パッカードにご紹介いただき、仙台の『IT EcoSystem Forum』に参加させていただくことになったんです。

その流れでアイネットをご紹介いただいたので、我々が今までアプローチしていなかった建設業の方との繋がりができるいいタイミングだと思いました。

アイネットと組むことで商圏が広がるかもしれない、という期待が一番大きかったです。

ーその後はどのように話が進んでいったのでしょうか?

アイネット:実際にお会いして虹彩認証の仕組みや他のサービスを紹介していただきながら、弊社のプロダクトとこう組み合わせたらいいんじゃないかとか、お互いにアイディアを出しながら進めていきました。

そのうち日本ヒューレット・パッカードから「まずはセミナーをやって、建築業界にアピールしてみましょう」というご提案をいただいたんです。

ー今年の2月に行われた建設業向けのセミナーですね。こちらは日本ヒューレット・パッカードを含めた初の3社合同の取り組みでしたが、セミナーを実施するまでの思いや実施後の感触について聞かせてください。

YCC:我々は、セミナーをやることで顧客を見つけられるんじゃないかという思いがありました。

次に、じゃあそこにどう商品を結び付けられるか、ということを考えましたね。

当日は30名近くの方にお越しいただき、良い感触を持って終わりました。

我々とアイネットは両社それぞれが商品を持っていますが、今はそれらをどう組み合わせれば顧客のニーズに合わせることができるか、ということを模索しています。

アイネット:2月のセミナーは建設業向けだったので、私たちがすでに行っている仕組みにおける課題や経験談をお話して、その上で「新しいことをしませんか?」というご提案の場にしたかったんです。

そういった意味では、私たちが抱えている課題とこれから改善していくべきことについて、ご来場いただいた方にご紹介できたのかなと。

セミナーをやったことによって、3社それぞれに新しいコンタクトポイントができたのは良かったですね。

特に虹彩認証などの新しい技術は、なかなか普及が難しいんです。

でも私たちは建設業界に顧客を持っているので、今後新しい技術を使って一緒にやってくれるところを探し出すことができるのではないかと思っています。

オリンピックに向けた工事など、日本を代表する大きなプロジェクトになると大きな投資もしてくれますし、新しい話題も積極的に採用してくれるので、3社でこれまでやってきたことが少しでも役に立つのではないでしょうか。

『EcoSystem』は協業できる仲間を探せる“場”

ー『EcoSystem』を利用した感想を聞かせてください。

YCC:『EcoSystem』はITベンダーの集まりなので、協業できる相手、仲間を探せる良い場だと思います。

我々はこれまで自分たちの事業領域の範囲内で一生懸命やろうとしていましたが、なかなか広がらない部分もありました。

ですが今回『EcoSystem』を利用したことによって、アイネットのような自分たちにないものを持っている企業と知り合わせていただき、想像以上のことが実現できそうなので、それには本当に感謝しています。

日本ヒューレット・パッカードのような企業が主催するイベントや交流会は他にもありますが、主催者側がここまでサポートしてくださるところはなかなかありません。

仮にサポートがあったとしても、イベント後にただプレゼンをやって終わりだったり、そのあとのフォローがないんです。

日本ヒューレット・パッカードは企業同士のマッチングを第一に考えてくださいますし、そのための場を積極的に設けてくださる。我々のようなベンダーのことを、本当によく考えてくれています。

アイネット:確かにそうなんですよね。『EcoSystem』は非常に手厚いフォローで、日本ヒューレット・パッカードがその後のことをいろいろ考えて、奔走してくださっています。

アイディアやアドバイスももらえ、そしていろいろな技術や販路を持っている方々と出会う“場”をいただくことができ、私たちも気付かされることがたくさんあります。その辺りは大変嬉しく思っています。

新しいものを持っている人との出会い、そういうチャンスを与えていただいているのが『IT EcoSystem Forum』で、それをうまく活用するのが私たちの役目ですよね。

日本ヒューレット・パッカードの言う『EcoSystem』の3つの関係、「IT企業、販売店、日本ヒューレット・パッカード」がうまく回るように活用できれば、自然と結果が出てくるのだろうなと思います。

YCCとの協業ということで言えば、最近YCCが新しく安否確認システムを始めましたが、私たちとの付き合いだけではもったいないので、グループ会社の営業を連れて行って、どこか活用する場はないかということを一緒になって考えました。

グループ会社は自治体向けのソリューションを持っているので、YCCに協力してもらって東北の自治体に展開できたらという思いもあります。

このように、今後もお互いの良いところを補完しあう関係を強めていければいいですね。

ー『EcoSystem』、『IT EcoSystem Forum』はどのような企業に向いていると思いますか?

アイネット:すべてを自社でまかなえる企業ではなく、例えば技術力だけが突出していたり、営業面で他社に負けない何かがあったり、強みを持っているけれどなかなか先に進めない、という企業に向いているのではないでしょうか。

そういった企業が『EcoSystem』に賛同して仲間を見つけられたら、共に事業を加速させることができるのではないかと思います。

YCC:そうですね。我々もできる範囲は限られているので、それを補完してくれるパートナーを見つけられる“場”だと思っています。

具体的な商品を持って「何か一緒にやりませんか?」という集まりはなかなかないですからね。

『IT EcoSystem Forum』を活用すれば、全国に展開できる!

ー『IT EcoSystem Forum』は全国で開催されていますが、それについてはどう思われますか?

YCC:例えば、山形基盤の我々が単独で大阪に出て行ってもなかなか商売にはなりませんよね。

販路を広げる上では、やはり地域で活躍する方々と一緒にコラボレーションするということが重要になってくると思います。

『IT EcoSystem Forum』は北海道から沖縄まで全国で開催されているので、それぞれの地域で活躍している企業とつながりを持つことができるという点に価値があるのではないでしょうか。

東北の商圏だけでなく、我々としても全国にいきたいという気持ちがあります。

そのため今は、『EcoSystem』で知り合った各県の地元の販売店とうまくコミュニケーションを取りながら、全国への足がかりを進めていければと思っています。

アイネット: 『IT EcoSystem Forum』は主要都市以外でも開催されているので、地場の企業や関連企業にもどんどん参加していただきたいですね。

そうすると私たちの方にも情報が入ってきますし、自分たちだけではどこにいいネタが潜んでいるかというのはなかなか探しきれませんからね。

ー最後に、IT中小企業の方に向けて『EcoSystem』や『IT EcoSystem Forum』に関するメッセージをお願いします。

YCC:創業したばかりの企業は特定の商品だけでやっていると思うので、『EcoSystem』で商圏を広げるのでもいいでしょうし、他社との連携を実現する場という形で有効に使っていただきたいと思います。

『IT EcoSystem Forum』はプレゼン後に懇親会もありますので、そこでいろいろな方とコミュニケーションを取って連携を広げていただければいいのかなと。個人的には、プレゼンはもちろんのこと、懇親会も楽しみにしています。

アイネット:『IT EcoSystem Forum』は、自分より優れたプレゼン力や販売力のノウハウを吸収できるいい場でもあります。

そういう機会はなかなかありませんし、特に創業したばかりの中小のITベンダーはそういった情報が入りづらいと思うので、参加することに意義があるのではないでしょうか。

セミナーで商品を知ることも大切ですが、他社がどういうプレゼンをしているのか、どういう資料を持って来ているのかということを知るだけでもかなりの収穫があると思います。

また、『EcoSystem』には一緒に何かを生み出そうという方たちが賛同していると思うので、そういう意識があるのであればどんどん積極的に参加してもらって、新しい力と私たちの力を合わせて何かをやれたらいいですね。

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(取材協力:株式会社アイネット
(取材協力:株式会社YCC情報システム
(編集:創業手帳編集部)

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