知らずに飲食店を開業すると失敗する!飲食店開業資金の表に出ない真実 自己資金ゼロは本当か(後編)

創業手帳

知らずに損をしている人は多数!日本政策金融公庫で開業融資を申し込む際に、誰もができる審査が有利に運ぶコツ

これを知らずに飲食店を開業してはいけない!!お金に関するオモテには絶対出てこない真実(後編)(執筆:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士)

(2015/09/07更新)

今回の内容は、これから飲食店を始めようとしている人には是非読んでもらいたい内容です。前回は開業までに必要な資金の詳細な金額や、融資、自己資金の金額について説明をいたしました。その融資の審査を少しでも有利に運ぶコツを今回は紹介します。

飲食店を開業しようとして、私のところに相談にいらっしゃる方で、融資について調べていらっしゃる方は多いです。しかし、意外と足下がおろそかになっていることがあります。今回は、私のところに相談にいらっしゃる方が見落としがちなポイントを紹介します。読めば、「えっ、こんなことで!?」と目から鱗が落ちるでしょう。

飲食店を開業しようと思った時点で、あなたは従業員ではなく、経営者としての思考・行動が求められているのです。この記事を読んでから、すぐに行動を変えていきましょう!

飲食開業手帳(無料)では、飲食店の経営者が必要とするノウハウをわかりやすく解説しています。物件の善し悪しや、決済の方法など、店舗のことだけでも知っておかなければならないポイントが多くあります。無料でお届けしていますので、こちらもチェックしてみてください。(創業手帳編集部)

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

開業前に経営者としての心構えが試されている

今回の内容を一文で表すと「飲食店勤務時代から準備しておいた方がよいこと、諸経費支払い方法や融資面談までに用意すべきもの」 です。

難しそうに思えますが、特別なものを用意したり、特殊な知識や能力が必要になったりするものではありません。あなたが普段、生活している上で、必要な支払いやお金について、目に見える形で管理をしておきましょうということです。

ただし、非常に単純で簡単なことなのですが、これができていない人が多いのも事実です。これが実は厄介なのです。「単純で簡単なこと」すらできるない人が、難しい経営ができるわけがないと融資の審査で判断されてしまうのです。これは大きなマイナスです。

そうならないように、詳細を見ていきましょう!

今すぐに諸経費の支払い方法を変える

【水道光熱費】

電気、水道、ガスなどの水道光熱費の支払いについて、どのような方法を選択しているでしょうか? ここで分からないという答えは厳禁です。今すぐ調べてください。

一般的な支払い方法は、下記の3つです。この支払い方法のうち、融資審査にプラスに働くものがあります。分かりますでしょうか?

  • 郵便ポストに投函された収納表でコンビニ等で期限までに適当に現金払い
  • 口座自動引き落とし
  • クレジット払い

答えは「2.口座自動引き落とし」又は「3.クレジット払い」です!理由は日本政策金融公庫が発行している、「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引き+」 の19ページ目「お金を借りるために今からやるべきこと」諸支払い編に書いてあります!(以下、抜粋)

「公庫では、ご返済をきちんとしてもらえるかどうかの判断材料の1つとして、日頃の諸支払い振り(公共料金、家賃、住宅ローン等の支払い状況)を確認させていただいています。 支払いが遅れていると信用力は低下してしまいます。 創業を思い立った日から、経営者としての自覚を持ち、お金に対してシビアになる必要があります。 公共料金等のお支払いは通帳からの引き落としにして、記帳した通帳を大切に保管しておいてください。 こうしておけば目に見える形で信用力を示すことができます。」

つまり、お金の支払いについて、あなたがどのように責任を持って考えているかというのが見られています。適当に現金で支払うということは、忙しかったり、忘れていたりすると遅延が発生する可能性があります。お金を貸しても、同じような感覚で返済をされては、貸す方はたまりません。

一方、自動引き落としやクレジット払いは確実に期日に払います。遅延などがないということです。日本政策金融公庫からの大事な借入に対して、責任を持って規則正しく返済できるというアピールの材料の一つなのです。

コンビニに現金払いしている場合には、絶対に通帳から口座引き落とし又はクレジット支払いに切り替えて下さい。

ただし、クレジット支払の場合には、クレジット明細をしっかり保管しておいてください。また、銀行口座についても定期的に記帳する習慣をつけておきましょう。一定期間、記帳をしないでいると、その期間の合計が記帳される形になります。金融機関によってこの期間は異なるのですが、金融機関からすると自分のお金の出入りに対して、だらしない人と思われてしまいます。

言うまでもなく、お金というのは経営にとって、重要なものです。そのお金の取り扱いと、出入りを、通常の生活の中でもしっかりと紙などの資料に残しているということは、融資担当者へのアピールになるのです。

創業手帳の冊子版(無料)では、ビジネス用のクレジット・カードの活用法について詳しく解説しています。カードは信用につながるだけでなく、経理作業が簡略化されるなど、普段の経営にもメリットがあります。おすすめのビジネス・カードも紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。(創業手帳編集部)

【家賃の支払い〜賃貸の場合】

家賃については、振込み又は自動引き落としがあります。こちらも水道光熱費と同じで遅滞なく、規則正しく払っていく必要があります。そのため、自動引き落としにしておきましょう。

何らかの理由で振込みでないといけない場合には、遅滞しないことはもちろんですが、同じ日に払うようにしましょう。規則正しく振込をしていることは、お金の管理ができているというアピールになります。

また、ネットバンクでは、定期振込みというツールがあります。自分ではできない場合は、こういったサービスを思う存分に使ってください。日付指定をすれば毎月自動的に振込をするので、非常に便利です。

実際にこのツールは、私も使っています。会社の役員の報酬支払いは定額のため住信SBIネットバンク(月額ネットバンク使用料無料)で定期振込みをしているのです。言い方は悪いですが、勝手に振込をしてくれるため、経理の手間や承認の手続きが不要なので、かなり楽です。

このサービスは個人でも利用できるので、家賃の支払いにも利用できます。費用もお得で、ネットバンク使用料無料、振込手数料月に3回まで無料、セブンイレブンでの入出金無料なので、家賃以外でも利用方法はあると思います。

家賃の支払い〜住宅ローンの場合】

住宅を購入されている方は、家賃は発生しませんが、住宅ローンがあります。遅延なく返済をしているのは最低条件となります。

さらに、融資面談前に、住宅ローンの残高証明書を確認書類として提出する事になります。住宅ローンを借りている金融機関に残高証明書の発行について確認を取っておきましょう。すぐに発行してもらえれば大丈夫ですが、時間がかかるのであれば、事前にその準備も必要になります。

融資面談までに用意すべき様々な書類

【住民税など税金の支払い】

住民税を初めとした税金についても、遅滞なく支払われているかを確認されます。

住民税については、今勤めている会社の関係で、給料から住民税が控除されている方とコンビニや金融機関で支払いをしている方がいらっしゃると思います。

まず、給料から住民税が控除されている方は、毎月の給料明細を手元に残しておいてください。コンビニや金融機関で支払いをしている方は、その際の領収書を残しておいてください。これは、一回だけではなく、継続的に支払いをしているかを確認されますので、漏れがないように保管しておかないといけません。

「えっ、そんなの捨てちゃったよ!」という人は、今からでも遅くはありません。手元に残しておいてください。

さらに、「もう不動産も見つけ、融資も申し込んで、開業は目の前なのに、そんなこと言われても困る!!」という人も大丈夫です。安心してください。東京都なら区役所に行き住民税の課税証明書を発行してもらえます。分からないことがあれば、行政に聞きに行くというのも手です。

また、給料の話が出たので、蛇足ですが、給料明細以外にも、年末に会社から渡される源泉徴収票もしっかり保管しておいてください。

いろいろと細かいことを説明しましたが、基本は「お金に関する書類は保管する」です。

【自宅の賃貸契約書】

こちらも、すぐ出せる場所に保管しておきましょう。なければ、契約した不動産会社か、オーナーが持っていますので、コピーを取らしてもらいましょう。

【資格証明書】

意外と直前になって焦るのが、資格の証書類です。いくら資格を持っていると言っても、融資などの審査では、それを証明する証書類が必要になります。

調理師などの資格は、若いころに取っていて、証書がどこにあるか皆目検討もつかないということもあります。実家に置いてあるということも考えられます。

面談前の忙しいときに、このようなことでばたばたして時間を浪費するのはもったいないので、事前に確認をしておきましょう。どうしても見つからない場合は、再発行も可能なようなので、調べてみてください。

【飲食店開業前に使った資金の領収書】

最後になりましたが、これは、かなり重要です。開業後に経費として申告ができるので、税金の申告に有利になります。

開業前だから経費にならないと思ったら間違いです。開業のためにかかった交通費、飲食店の競合店調査費、打ち合わせ費用、研究費用等を経費として申告することができるケースがあります。私のようなコンサルに相談した費用も経費となります。

もちろん、そのための領収書が必要になりますが、保管していないケースがあります。開業を思いついてからの経費ですので何年も積み重なると大きな金額になっているものです。全てとはいいきれないですが、自己資金扱いにもなり、開業後の初の確定申告経費にできます。保管をしておかないと確実に損をします。

このように、融資を有利にするためには、お金に関する資料は確実に手元に保管しておかなければなりません。融資担当者は、そこにあなたの経営者としての自覚を見つけます。融資の直前にドタバタすれば、それだけ申請が遅れ、印象も悪くなります。今回の記事の内容を基に、事前にきっちりと書類を準備しておけば、それだけ融資審査の印象も良くなり、予定通りの開業を進めることができます。

飲食開業手帳では、確定申告についてもわかりやすく解説しています。確定申告や記帳作業は開業してから必要になる知識です。忙しい開業当初に集客や固定ファン作りに集中するためにも、経営で必要になるお金まわりの手続きや対応に対する不安をクリアしておきたいところ。飲食開業手帳は、実務のノウハウをインプットする上で役立ちます。(創業手帳編集部)

前編を見逃した方はこちら!!
これを知らずに飲食店を開業してはダメ!飲食店開業資金の表に出ない真実 自己資金ゼロは本当か(前編)

(監修:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士
(編集:創業手帳編集部)

創業手帳は、起業の成功率を上げる経営ガイドブックとして、毎月アップデートをし、今知っておいてほしい情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能です。

創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す
今すぐ
申し込む
【無料】