飲食店開業における5つの資金調達方法

資金調達手帳

頼るべきは親族?銀行?それとも・・・?

IMG_1133
(執筆:「飲食店開業融資専門税理士」ITA大野税理士事務所 大野晃)

(更新日:2015/12/2)

飲食店を開業する際に必要な資金は、不動産取得費と設備投資資金、数ヶ月分の運転資金となります。今まで、私の連載を読んでいただいている方はご存知ですが、何ヶ月分の運転資金を用意するかは、立地やお店のコンセプトなどによって変わってきます。

すべてが自己資金でまかなえればよいのですが、普通は自己資金で足りない分のお金をどこからか調達しなければなりません。今回はその資金調達の5つの方法を紹介し、それぞれのメリット、デメリットを考えていきます。

本文を読む

何個の資金調達方法を知っていますか?

飲食店を開業しようとして、資金の調達が必要になった際、あなたはどのくらいの方法を思いつきますか。

これから飲食店を開業しようとしている方で、一つも思いつかないという場合は、開業は延ばした方が良いです。情報を収集するか、信頼できる専門家を見つけて相談されるのがよろしいでしょう。

それほど開業前の資金調達というのは、重要な意味を持っています。
【参考記事】開業当初に必要になる創業融資・財務の知識 前編

答えから言うと資金調達の主な方法は下記の5つです。

  • 血縁・親族関係からの資金調達
  • 他人からの資金調達
  • 日本政策金融公庫からの融資制度を用いた資金調達
  • 地方銀行・信用金庫の制度融資(東京都又は市区町村の保証協会付き)
  • 助成金・補助金

この5つの方法は、どれか一つしか選べないというものではありません。うまく利用すると、他の資金調達のプラスに働く資金調達方法もあるのです。

これから一つひとつ見ていきましょう。

血縁・親族関係からの資金調達

最もポピュラーな方法です。配偶者や親、兄弟・姉妹、親戚などからお金を借りるというものです。

ただし、配偶者や親でも、お金の問題はきっちりとしておいた方が良いです。そのお金は返済義務があるのか、ないのか? 返済義務がある場合は、利子はどうするのか? 返済期間はどうするのか?こういった内容を紙にまとめておくことを勧めます。

POINT
実は血縁・親族関係からの資金調達は、他の資金調達にも関わってくる重要な方法です。そのため、一番初めに説明をしました。これがうまくいくと、他の方法での資金調達がよりスムーズになる可能性があります。

一般的にお金を借りる際、あなたの「資産」と「収入」で借り入れるできる金額や返済期間、利子が決まります。住宅ローンなどを考えれば、すぐにイメージがつくでしょう。

ただし、これから飲食店を開業しようとする人にとって、現在の確固とした収入はありません。そのため、融資を受ける際に資産が重要になります。あなたが土地などを持っていれば別ですが、基本的には資産=自己資金です。

通常、自己資金は自分が貯めたお金ですが、後で説明をする日本政策金融公庫の場合、「親族関係からの資金調達」が自己資金として認定されるケースがあります。自己資金が多いと判断されるため、融資の審査が通過しやすくなります。

特に、完全に返済義務がない借入なら、ほとんどのケースで自己資金として認定されることが多いです。ただし、返済義務がある場合は、自己資金とは認められないです。

かなりグレーな所にはなりますが、血縁・親族関係からの資金調達であれば出世払い=「あるとき払いの催促なし」というあいまいなケースもあります。その場合でも自己資金として認められる可能性があります。

自己資金扱いになるかのまとめ

  • 血縁・親族からの返済義務なしの出資 〇△
  • 血縁・親族からの返済義務ありの借入 ×
  • 血縁・親族からの出世払い      △

友人やパトロンからの資金調達

これから開業しようとしている人でネットワークをしっかりとお持ちの方は、この方法で資金調達されることも多いかと思います。常連のお客様や、友人から融資をしてもらうことがあると思います。

パトロンなどは、銀座などの繁華街で働いていた方で良く聞きますが、これから開業しようとする人の魅力や、それまでに培ってきた人脈、ネットワークによっては繁華街でなくてもあることです。

POINT
血縁・親族からの資金調達と、友人やパトロンからの資金調達が同じように思ってしまいますが、実は違います。過去に知り合いからの資金調達を「見せ金」として融資を有利にしようとした人がいたため、現在では融資担当者が厳しくチェックするようになっています。

「見せ金」とは、開業時だけ知人などからお金を借りて、資金が多くあるように見せる方法です。金融機関から融資がおりたら、その資金をすぐに返してしまいます。

融資担当者としては、運転資金が豊富にあると判断して融資をOKしたのに、じつは運転資金が少なく、潰れるリスクが高いということになり、だまされたことになります。

友人やパトロンからの資金調達をする方法は良いのです。さらに日本政策金融公庫の融資制度を有利に利用したいと考えている場合は、出資者の身元確認や、贈与契約書をしっかり作成する必要があります。

日本政策金融公庫からの融資制度を用いた資金調達

親族や、知り合いからお金が借りられない場合や、借りられたとしても必要資金の一部にとどまった場合には、足りない分を金融機関から資金を調達することになります。その中でも、日本政策金融公庫の融資はポピュラーな手段です。

特に、私がお勧めするのは、認定経営革新等支援機関と協力しながらの融資を申請する「中小企業経営強力化資金」です。他の金融機関からの借入と比べて、様々なメリットがあります。

1.利率が「新創業融資制度」より約1%低い

同じくよく利用される「新創業融資制度」というのがあるのですが、これと比べると利率が約1%低いです。
仮に融資額が2000万円で、返済期間が7年を想定した場合、返済するまでの利息差額は、100万円以上違うものとなるになります。

2.あなたは1度も金融機関に行かなくてよい

これから開業をしようとしている人は、仕入れ先の確定、メニューの確定、内装の進行具合の確認などお店の準備に大忙しな方が多いです。

通常であれば、お金を借りるときには、本人が金融機関に行かなければなりません。審査が通るまで何度も足を運ばなければならないことも多いです。それが認定経営革新等支援機関の支援がついている「中小企業経営強力化資金」であれば、認定経営革新等支援機関の専門家が代行することができるのです。

金融機関に何度も足を運ぶ時間を、メニューや仕込みの準備に当てることができるのです。

3.金融機関との融資面談は、認定経営革新等支援機関の事務所で行え、専門家を同席できる

融資の可否に重要な判断となるのが、金融機関の担当者との融資面接です。この面接の場で、あなたの開店への思いを熱く語ると、当落線上にある場合はプラスに働きます。

ただし、うまく回答できないとマイナスになってしまいます。ここで、認定経営革新等支援機関の専門家が同席をしていると、うまく回答をしたり、フォローをしたりすることができるのです。

また、場所は金融機関ではなく、認定経営革新等支援機関の事務所となります。ただでさえ緊張する面接ですが、事前に本番と同じ認定経営革新等支援機関の事務所で予行演習をすることで、落ち着いて実際の面接に対応することができるようになります。

他の支援の場合、専門家は同席しませんので、全て自分で考えて行わないといけません。

4.無担保 無保証

事業でお金を借りる際に、担保や保証人が必要になることが多いです。保証人は責任が重いため、保証人を探すのは非常に大変なことです。

しかし、この「中小企業経営強力化資金」であれば、担保や保証人が不要です。

なお、「中小企業経営強力化資金」で重要なポイントを占める専門家選びは慎重に行ってください。なによりも実績が重要です。

専門家に相談しに行った場合、「中小企業経営強力化資金」について聞いてください。今回の内容などをしっかりと答えられない専門家は、辞めた方が良いです。また、実績や、資金使途違反の話を知っているか確認をした方がよいです。

地方銀行・信用金庫の制度融資(東京都又は市区町村の保証協会付き)

起業に関する融資制度はいろいろとあります。その中で利用されるもので有名な制度に、保証協会付きの融資があります。多くの業界で利用されています。

しかし、私の経験上、飲食店の独立開業では、この融資はおすすめできません。融資までのスピードが遅いからです。融資を受けるために、5回、6回市区町村などに足を運び、中小企業診断士の話を聞かなければなりません。その都度、必要な書類を用意する準備も発生します。少なくとも、審査結果がでるのに最低2ヶ月は考えていなければなりません。

また、飲食店の場合、営業許可書が発行されることを条件に融資が実行されるケースが多いです。営業許可書が発行されるということは、内装工事なども終えて、営業ができる状態です。それでは、開業前に必要な内装工事などの支払いに、この融資をあてることが難しいということになります。

助成金・補助金

飲食店でよく使われるものに、キャリアアップ助成金や創業補助金があります。特に、創業補助金は飲食業界であれば、かなり通りやすいのでチャレンジする価値はあります。

ただし、利用できる時期が限定されます。飲食店独立開業してから約1年経たないと利用できません。今回のテーマである飲食店開業前に利用できる融資の条件には、残念ながら合いません。

ただし、飲食店を開業してからは有効な資金調達方法ですから、必要になった際には、利用を検討してみてください。

(監修:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士)
(編集:創業手帳編集部)

資金調達手帳

カテゴリーから記事を探す