債権回収の話をしよう!田中弁護士の白熱回収教室(5)

創業手帳

第5回:裁判がどういうものか一通りは把握しておこう

債権回収の話をしよう!田中弁護士の白熱回収教室(5)

前回までに、会社内での回収努力や弁護士に依頼するまでの流れ、ポイント等を説明してきた。それらを踏まえ、費用をかけて弁護士に依頼することとなった場合、基本的には弁護士に任せればよいが、裁判に関して、一通りの理解はもっておいた方がいいだろう。

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まず、知っておいてもらいたいのが、裁判になれば時間もかかり、労力もかかるということ。さらに勝訴したとしても、それで未払金を回収できる訳ではない。相手が払わなければ、さらに手を打たないといけない。さらに時間がかかる。実際に体験してみないとイメージはしにくいが、以下の点ぐらいの知識は持っておくと、裁判になったときの心構えが違ってくるだろう。

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1 裁判手続への協力

いざ、裁判を起こすとなった場合、そこに会社内の人的なリソースを割くよりも弁護士にできるだけ丸投げした方が望ましい。特に、人が少ない起業間もないベンチャー企業にとっては、なおさらだ。しかし、あなたの会社の社員が行わなければならないこともある。

例えば、裁判所に提出する証拠(請求書等)を集めることなどだ。裁判が始まったら、相手方から出てきた反論の書面に記載されている事実が「嘘八百」でないかを確認することも弁護士ではできない。事案によっては、これらについて手間をとられることもあるので、迅速に対応できるよう資料をまとめておくといい。

また、裁判を起こした場合、通常は裁判所が1ヶ月に一度しか裁判を開かないため、どうしても時間がかかりがちになる。弁護士にお願いしたのに、全然話が進まないというストレスを持つ可能性もあるので、弁護士に任せるといっても、適宜報告等は求めるのがよい。

2 裁判の進め方・方針の決定

裁判はやはり時間がかかる。相手がダダをこねて支払わないだけなのに、なんでこんなに時間がかかるんだと思うこともあるかもしれない。

特に、審理を重ねて判決に至って裁判官に判断される場合には、時間がかかる。その間、いちいち裁判に関する書面をチェックするのに時間を取られ、裁判を起こしていることに気をとられる。そのため、ビジネスを進めなければいけないのに、裁判に時間や気を取られるのが嫌という人も多い。

そういう人にとっては、ある程度早く裁判手続を進められる方法もある。

裁判官=忙しいというイメージがあると思うが、実際に多くの裁判官は100件以上もの事件をかかえている。そのため、裁判官はできれば判決を書くという時間と手間のかかる手続を避けたいという意識が働く。多少支払額を減額する代わりに、すぐに支払ってもらうというような内容で話合いによる解決(和解)をするよう勧めてくることが多い。

ここで簡単に和解に応じる必要はないが、これ以上裁判を続けるのは面倒だと思う場合は一考する手ではある。勝訴判決に至るには時間がかかることも多いだけでなく、その後にも時間がかかることがある。

勝訴判決が出ても、任意では払ってこない相手方はいくらでもいる。その場合、相手方の強制執行の対象となる財産を探し出せなければ、売掛金は回収出来ない。それに比べれば、多少減額してくれれば払います、という約束を裁判上で相手方にさせた方が回収の可能性は高まる。

裁判の目的は勝訴判決を得ることではなく、あくまで売掛金の回収に重きをおかなければならない。依頼した弁護士としっかり話し合って、相手方の支払い能力などを考えて和解をするかどうかといった方針を決めるといいだろう。

3 勝訴判決に至った場合

裁判で勝訴しても、その後の方が大変になることも多く見てきた。仮に勝訴判決を得られても、任意で支払いを受けられず、強制執行しなければならなくなっている可能性が高い。負けそうだとわかった相手方は、強制執行の対象となるような財産を隠す行為に出ることもある。

そのため、判決が出る前には、どの財産に対して強制執行するかの目途をつけておく必要がある。素人では判断が難しいので、弁護士と相談しながら、調査を進めておこう。

仮に、強制執行で回収出来なかった場合であっても、損金処理により、経済的な損失の軽減を図ることができるので、その点についても忘れないでおこう。

4 売掛金管理の仕組みを整えておく重要性

強制執行まで、一通り手続きを行った人は、一様に「売掛金1つ回収するのに、こんなに手間と時間がかかるのか」という感想をもつ。できれば、そのような事態にならないのが望ましいが、そのような事態になってしまった場合には、同じ轍を踏まないで済むような仕組みを整えておくのがよい。

まずは裁判にならないように、今までの連載に掲載した、未払金の管理体制をしっかり整えておこう。

(了)

債権回収の話をしよう!田中弁護士の白熱回収教室シリーズ
第1回:早期の督促対応が債権回収の可能性を高める
第2回:「チョイヤバ」な債権回収は内容証明郵便で!内容証明郵便の基本を理解する
第3回:田中弁護士の作成サンプルで学ぶ内容証明郵便で送る請求書作成のポイント
第4回:弁護士に債権回収の法的手続きを依頼する前に押さえておくべきポイント

(監修:田中尚幸 弁護士)
(創業手帳編集部)

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