【第2回】サイボウズ 青野 慶久社長独占インタビュー!創業時の販路拡大と資金調達

創業手帳

創業時は山あり谷あり。サイボウズがとった販路拡大と資金調達の方法とは

(2015/08/31更新)

3人の若者によって1997年に創業されたサイボウズ株式会社は、創業以来「世界で一番使われるグループウェアメーカー」を目指し、あらゆるチームのチームワーク向上に貢献するグループウェアを開発・提供してきました。国内のグループウェア市場でシェアNo.1を誇る同社は、どのような過程を経て成長を遂げてきたのでしょうか。
創業メンバーの1人である代表取締役社長の青野慶久氏に、創業時の販路拡大の方法、資金調達について話を伺いました。

header02

本文を読む

青野 慶久(あおの・よしひさ)

サイボウズ株式会社代表取締役社長。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)に入社。BA・セキュリティシステム事業部営業企画部での勤務経験を経て、1997年に愛媛県松山市にサイボウズ株式会社を設立、取締役副社長に就任。2005年4月より現任。社内制度においてもグループウェア活用によるワークスタイル変革を推進し、多様な働き方を実現している。自身も3児の父として3度の育児休暇を取得。

創業時は順調だった売上も一時は壁にぶつかり……

ーサイボウズは創業当初から販売をインターネット経由に絞っていたそうですね?

青野:実を言うとそれしか方法がなかったんです。

本当は大阪で会社を立ち上げたかったんですが、資金がなくて事務所を借りるのが難しかったので松山で始めたんです。そこで、地方でやるんだったら商品はネットで販売しようということになりました。松山に行ってネットで販売するというのが残された唯一の選択肢だったんです。

ー当時、すでにネットで物を販売するというのが主流になっていたんですか?

青野:コンシューマー向けには出始めていたかもしれませんが、企業向けというのはほとんどありませんでした。

ーサービスのプロモーションはどのように行っていましたか?

青野:ちょうどインターネットが普及し始めた頃だったので、メールマガジンに5行広告を入れたりしていました。

運が良かったことに、ちょうどネットメディアに興味のある先進的な人たちが、ソフトウェアをインターネットで買ってダウンロードするということが始まっていたんです。

創業時は僕たち3人が食べられれば良かったので、1本でも売れたらワーっと盛り上がるわけです。ソフトウェアは原価が安いですし、最初は給料ゼロでも構わないと思っていたので、とにかく広告にお金をかけて、広告費以上に売上が上がったらそれで食べていけるという感じでした。

ー創業して黒字化したのはいつごろからですか?

青野:1997年の8月に設立し10月から販売を開始し、12月には黒字でした。ですから早いですよね。広告費以外にほぼコストがかかっていなかったので、非常に効率が良かったですね。

ーということは、販路の拡大について苦労されたことはなかったんですか?

青野:その苦労は次のフェーズで起こりました。

最初はインターネットだけで販売していましたが、5、6年目になると売上がボコっと落ち、ネットで売れる範囲は限られているということが分かってきました。あの時点でサイボウズは終わりだと思った人も多かったと思います。

そこから頑張って間接販売という販路を切り開くために奔走しました。それまでは、ネットで売れるんだから必要ないと思い、サイボウズの製品を売りたいという人たちを無下に断っていたんです。

ところが、一転してそんな状況になってしまった。なので営業部長が頭を坊主にして謝るところから始めました。当時はまだそれなりに勢いが残っていたので、そこから持ち直すことができました。

小さく始めるのがいいと思います

ー当時、資金調達はどのように行っていたのでしょうか?

青野:黒字化するのが早かったものですから、その当時はお金で困ったことはあまりなかったんです。

ただ、3人ともサラリーマンだったので創業時は資金なんてまったくなかったですよ。僕なんて働いて3年ぐらいだったので貯金もありませんでした。

当時ベンチャーブームが来るという噂があって、ベンチャーキャピタルがお金を出してくれるという話があったので、事業計画書を持って資金調達のために回りました。

ところが何の反応もないわけです。今とやっていることは変わらず、Webベースのグループウェアを作ってネットで販売するというビジネスモデルでしたが、完全にスルーされていました。

そこで困ってどうしたかと言うと、親のところに行って「僕に投資しませんか?」と言ったわけです。だから一番最初の筆頭株主は僕の父なんですよ。

あとは高須賀さんのお父さんや親族の方が気持ちで出してくれて、僕らも貯金を全部はたいてなんとか2,300万円をかき集めてスタートというのが実情でした。

ー今思えば、もっとベンチャーキャピタルに頼れていれば…というのはありますか?

青野:どうでしょう。理想を言えば、自己資金で回せるのが一番だと思います。

ーでは、起業したばかりの人に向けて、資金調達に関してアドバイスをお願いします。

青野:事業によっても違うと思いますが、IT系であれば小さく始めるのがいいと思います。

例えば今はクラウドがありますから、自社でサーバーをたくさん買う必要もないですし、地方でもネット環境が十分に整っているので当時よりも小さくビジネスを始められるようになっています。

僕たちが起業した頃は、まだ常時接続の環境が地方に徐々に広がるぐらいのタイミングだったんです。月3万円で128Kの回線が専用で使えるという状態が、ようやく地方に増え始めている頃でした。

(取材協力:サイボウズ株式会社
(編集:創業手帳編集部)

創業手帳

カテゴリーから記事を探す