開業時の届け出はお忘れなく!【美容室・サロンの開業手帳 〜10. 各種届出を済ませる〜】

創業手帳

届け出の不備でオープンを遅らせるなんていうことにならないために…

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(2016/02/29更新)

「キレイになって喜んでもらいたい」「美しくなって夢を叶えたい人をサポートしたい」という想いだけでは生き残れないのが、美容業界。

業界規模は、約2兆円ですが、美容室の数はコンビニの約4倍と言われ、非常に競争の激しい業界です。

また、近年増えているサロンですが、廃業率は1年以内が6割、3年以内が9割と言われています。

美容室・サロンは、店舗の固定費がかかるため、開業前に廃業するかしないかが決まっていると言っても過言ではありません。

開業前に情報を集め、きちんと準備をして、必ず成功させましょう!
美容室・サロンの開業前から開業後までを、ゼロから解説する、開業手帳シリーズ。今回は、「10.各種届出を済ませる」です。

創業手帳は、信頼できる情報を提供するために、起業家・専門家による膨大な情報を収集・精査し、記事を書いています。さらに、起業後に必要となるノウハウをまとめた冊子版の創業手帳(無料)は、毎月1.5万部を発行し、発行のたびに最新の情報にアップデートしています。起業後の手続きの流れなど必須の知識や、販路拡大の方法などのノウハウを知ることができます。(創業手帳編集部)

事業開始にあたっては、各種届出を忘れずに

サロンを開業するまでには店舗の決定、内装工事の打ち合わせ、ディーラーや美容器具業者との打ち合わせ、創業融資の手続きなど、本当にやることが多いです。

これらを同時並行で進めていくため、開業までとても忙しい日々が続くと思います。

しかし、サロンを開業するためにはこれだけではなく、保健所を初めとした各機関に提出する書類が数多くあり、法人・個人によって多少違いがあります。

とても重要な書類もありますので、忘れていて予定通りにサロンをオープン出来なかった…….なんてことにならないよう、しっかり把握し、迅速に手続きをおこないましょう!

サロン開業にあたって提出が必要な書類は、個人事業主か法人かで、異なる部分もあるため、まずは、個人事業主として開業するか、法人で開業するかを決定する必要があります。

どちらで開業する場合もそれぞれメリット・デメリットがあります。

どちらが良いかは開業される方の考え方や、今後の方向性等によっても異なりますので、以下の内容を総合的に検討した上で、どちらで開業するかを決めましょう。

既に決まっている方は以下から必要書類とその提出先を確認できます。
個人事業主の場合はこちら>> 法人の場合はこちら>>

法人か個人事業主、どちらを選ぶ?

サロンを開業する際、法人と個人事業主のどちらの方が良いのか。

サロン経営を始めるときに、皆さんが疑問に思うことだと思います。

それぞれメリット・デメリットがあり、開業される方の考え方や状況、今後の方向性等によって、どちらが最適かは異なりますので、一概には決めつけられません。

しかし、一般的には個人事業主として開業し、ある程度の規模になってきた段階で法人に変更する方が多いです。

詳しくは以下で説明しますが、税金や社会保険は個人事業主か法人かで負担額や義務の有無が異なります。

売上や儲けが少ない開業当初は、個人事業主としてサロンを経営し、売上や儲けが一定レベルを超えると、税金の負担が増加してくることから法人へ変更する流れが一般的となります。

選ぶ際の重要ポイントは、税金社会保険責任の3つです。

税金

事業の儲けに対する税金は、儲けが少ない場合には個人事業が有利になり、一定の金額から法人が有利になります。

この一定の金額は色々な条件を考慮する必要があるため一概に言えませんが、条件によっては儲けが500万円を超えると法人が有利となることも出てきます。

また、これとは別に、消費税の免税期間と言われる消費税を払わなくてよい期間も考慮する必要があります。

原則的には、開業後2年間は消費税を払う必要がありませんが、3年目からは消費税を払う必要が出てきます。

そのため、個人事業で始めて2年目の終わりに法人に変更する方も多いです。

これにより、最大で4年間消費税を納める必要が無くなります(状況によって変わりますので専門家に必ず確認してください)。

ただ、法人になることにより、赤字の場合でも必ず発生する税金が年間約7万円あるといったデメリットもあります。

社会保険料(ここでは主に健康保険、厚生年金保険)

社会保険について詳しくは後述しますが、雇用した従業員を社会保険に加入させた場合、給料を支払う際に従業員の方から社会保険料を天引きして納付する必要があります。

これは従業員の方だけではなく、サロンを経営している方も一定額の社会保険料を負担する必要があります。

個人事業主で開業する場合には、社会保険は加入する義務がないため、サロンの経営者にとっては負担がありません。

一方、法人で開業する場合には、必ず社会保険に加入する義務があり、同じ給料を支払う場合でも、社会保険料の負担分だけ支払いが多くなることになります。

地域等によっても保険料は変わりますが、おおよそ従業員に支払う給与額面の約15%(H28年現在)をサロンが負担する必要が出てきます。

責任

個人事業主は、何かあった場合は全ての責任を負う必要があります。

そのため、ビジネス上の失敗などで何かの責任を負わなければならないとき、その責任は開業者個人財産にまで影響することになります。

一方、法人の場合、責任は基本的に会社にあるため、原則として個人には及ばず、リスクを最小限に抑えることができます(連帯保証を行っている場合の補償や損害賠償責任等リスクがあるため、完全に0になるわけではありません)。

最悪の場合、個人的な自己破産となる個人事業主に対し、法人の場合には法人を破産させることで済む場合もあります(連帯保証の有無などによって異なります)。

最近は「無担保」「無保証」の融資制度もあり、ビジネス上のリスクを法人に限定して開業する方法もあります。

ただ、失敗を前提として開業するわけではないので、先述した税金と社会保険のメリットをとって個人事業で始められる方が多いのが現状です。

  個人事業主 法人
税金

儲けに対する税金は約15%~60%

消費税は最長4年間免除(2年後の法人化を前提)

儲けに対する税金は約21%~35%

消費税は最長2年間免除

社会保険※ 加入義務なし 加入義務あり
責任 責任は個人に帰属 責任は会社に帰属

※健康保険、厚生年金保険

なお個人事業主は、よく「信用力が低い」と言われますが、創業時の資金調達においてはあまり関係ありません。

創業時の資金調達の可能性を上げるために法人化する必要はあまりありません。

このように、個人事業主と法人でそれぞれにメリット・デメリットがあるので、自身の計画に合わせて慎重に考慮する必要があります。

また、事業規模などによって想定される税金は変わってきますので、売上が順調に増えている場合には、百万単位で税額が変わってくるパターンもありますので、早めに税理士などの専門家に相談するのがよいでしょう。

創業手帳では、無料会員向けに専門家の紹介を行っています。税理士など、開業前の相談に最適な専門家をみつけることができます。紹介を受けるにあたって、料金は一切無料です。(創業手帳編集部)

【個人事業主用】開業に必要な書類とその提出先一覧

必要書類とその提出先をまとめました。万全に準備しましょう。

保健所 必須 1.施設の位置図
2.構造、設備の平面図(寸法を内法で記入のこと)
3.従業者の名簿
4.医師の診断書(結核、皮膚疾患について記載した物で発行後3ヶ月以内の物)
5.理・美容師免許証 本証提示(全員のもの)
6.解説者が法人の場合は、登記簿謄本。外国人の場合は外国人登録証明書
7.手数料
税務署 必須 1.個人事業の開廃業届出書
任意 2.所得税の青色申告承認申請書
3.給与支払い事務所等の開設(移転・廃止)届出書
4.源泉所得税の納期の特例の承認関する申請書
5.青色事業専従者給与に関する届出書
労働保険監督署
(労災保険)
必須
※1
1.労働保険関係設立届出
2.労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書
ハローワーク
(雇用保険)
必須
※2
1.雇用保険適用事業所設置届
2.雇用保険被保険者資格取得届
年金事務所
(社会年金)
任意 1.健康保険/厚生年金保険新規適用届
2.新規適用事業概況書
3.健康保険/厚生年金保険被保険者資格取得届け
4.健康保険扶養者(異動)届出
5.健康保険/厚生年金保険料納入告知書送付(変更)依頼書

※1:ご家族以外の従業員を一人でも雇用した場合には加入義務があります。
※2:労働時間が週20時間以上でかつ1か月以上の雇用期間がある従業員を雇用した場合には加入義務があります。

個人事業主の場合、従業員を雇う・雇わないにかかわらず、必須となる手続きは、保健所への各種届出と、税務署への開廃業届出書の提出です。

美容室・サロンは保健所の基準を満たさなければ開業できません。

必要な書類は7つもあり、更に許可が降りるまでに時間がかかるため、下記の手続きの流れは事前に確認しておきましょう。

➀事前相談(工事の開始前までに)
➁開設届けの提出(営業開始の1週間前までに)
➂開設検査(立ち入り検査)
➃確認証の発行(開設検査の翌日から営業開始日までに)

また、任意ですが、届け出たほうがよいものに、税務署への開業届出書以外の各種届出があります。

特に青色申告承認申請書は税金の金額に影響してきますので留意が必要です。

雇用保険・労働保険に関しては、従業員の雇用条件などによって加入義務が異なるため、確認が必要です。

なお、個人事業主の場合、社会保険の加入は義務付けられていません。

青色申告での確定申告は詳細な帳簿付けが必要となってきます。ただ白色申告よりも、圧倒的に税金面で有利なので、青色申告を選ぶ場合が多くなっています。冊子版の創業手帳では、会計業務を自動化してくれる会計ソフトについて詳しく解説しています。お得なキャンペーン・コードも発行していますので、ぜひチェックしてみてください。(創業手帳編集部)

詳細はこちら>> 「福利厚生について知っておこう

【法人用】開業に必要な書類とその提出先一覧

必要書類とその提出先をまとめました。忘れて二度手間にならないように、万全に準備しましょう。

保健所 必須 1.施設の位置図
2.構造、設備の平面図(寸法を内法で記入のこと)
3.従業者の名簿
4.医師の診断書(結核、皮膚疾患について記載した物で発行後3ヶ月以内の物)
5.理・美容師免許証 本証提示(全員のもの)
6.解説者が法人の場合は、登記簿謄本。外国人の場合は外国人登録証明書
7.手数料
税務署 必須 1.法人設立届出書

任意 2.青色申告の承認申請書
3.給与支払い事務所等の開設(移転・廃止)届出書
4.源泉所得税の納期の特例の承認関する申請書
県税事務所 必須 1.事業開始等申告書
市区町村 必須 1.事業開始等申告書
労働保険監督署
(労災保険)
必須
※1
1.労働保険関係設立届出
2.労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書
ハローワーク
(雇用保険)
必須
※2
1.雇用保険適用事業所設置届
2.雇用保険被保険者資格取得届
年金事務所
(社会年金)
必須 1.健康保険/厚生年金保険新規適用届
2.新規適用事業概況書
3.健康保険/厚生年金保険被保険者資格取得届け
4.健康保険扶養者(異動)届出
5.健康保険/厚生年金保険料納入告知書送付(変更)依頼書

※1:ご家族以外の従業員を一人でも雇用した場合には加入義務があります。
※2:労働時間が週20時間以上でかつ1か月以上の雇用期間がある従業員を雇用した場合には加入義務があります。

法人の場合、必須となる手続きは、保健所への各種届出と、税務署への法人設立届出書、県税事務所と市区町村への事業開始等申告書の提出、年金事務所への各種届出です。

まず、美容室・サロンは保健所の基準を満たさなければ開業できません。

必要な書類は7つもあり、更に許可が降りるまでに時間がかかるため、下記の手続きの流れは事前に確認しておきましょう。

➀事前相談(工事の開始前までに)
➁開設届けの提出(営業開始の1週間前までに)
➂開設検査(立ち入り検査)
➃確認証の発行(開設検査の翌日から営業開始日までに)

次に、法人の場合は、税務署に法人設立届出書を提出するだけでなく、都道府県税事務所と市区町村の税務課などに事業開始等申告書を提出する必要があります。

なお、法人設立までには1ヶ月近くかかるため、法人の種類や手続きの流れなどを事前に確認しておきましょう。

詳細はこちら>> 「法人設立までの手順とは?

また、任意ですが、届け出たほうがよいものに、税務署への開業届出書以外の各種届出があります。

特に青色申告承認申請書は税金の金額に影響してきますので留意が必要です。雇用保険・労働保険に関しては、従業員の雇用条件などによって加入義務が異なるため、確認が必要です。

法人は社会保険への加入が義務付けられていますので、注意が必要です。詳細を以下で確認しましょう。

福利厚生について知っておこう

保険といえば、個人の場合は「生命保険」や「損害保険」などが思い浮かぶでしょう。

一方で経営者、事業主になると加入すべき保険に「労働保険」と「社会保険」の二つが加わります。

この労働保険は「労災保険」と「雇用保険」、社会保険は「健康保険」と「厚生年金保険」で構成されています

「リスク回避のために加入したい労災保険」

まずは「労災保険」から説明しましょう。スタッフの通勤途中や仕事中の怪我や病気を補償する保険がこの保険です。

この保険を使うと、従業員は治療費の自己負担が一切なく、完治までの補償を受けることができるのです。

また万が一、治った後でも障害が残ってしまった場合には、障害年金も支給されます。

さらに従業員だけではなく、サロンのオーナー自身も特別加入という手続きをおこなえば保険に加入することができるのです。

保険料は、全額が事業主の負担になります。平成24年度の事業主負担率は、美容サロンの場合、従業員の総賃金額の0.3%でした。

月額給与が20万円であれば保険料は600円/人となります。

何といっても美容室の従業員は、ハサミやレザー、特殊器具を使う技術職です。

他業種と比べると業務上負傷する可能性が高く、さらに通勤に自転車や車を使用するケースも多いため、通勤途中での怪我が発生する可能性も高いのです。

こういった突然のトラブルに安心して備えるために、この保険にはぜひとも加入しておきたいものです。

常日頃から加入していれば保険給付もありますが、加入していない場合は、事業主が治療費を全額払わなければなりません

「従業員にとって大きなメリットのある雇用保険」

従業員が失業した後の一定期間、失業手当として給付をうけられるものが「雇用保険」です。

あまり知られてはいませんが、他にも育児休業給付や介護休業給付、従業員の教育訓練給付などの給付もあり、この保険は事業主というよりも従業員から見たときに大きなメリットのある保険です。

保険料については、基本は経営者と従業員が半分ずつの負担となります。

しかし、事業主にはプラスアルファの負担金があるので、平成24年度の美容サロンについては総賃金の0.5%分が従業員負担、0.85%分が事業主負担となっています。

20万円の給与の場合は、従業員負担が1,000円/月、事業主負担分が1,700円/月となるのです。

先ほど説明した「労災保険」は、従業員を一人でも雇った時点で、法律的に事業主の加入義務が発生します。

一方「雇用保険」は、労働時間が週20時間以上で1か月以上の雇用期間がある従業員を雇えば、「雇用保険」の加入義務が発生します。

これは正社員、パートともに同じ条件です。パートと契約する際には保険加入の手続きも伴うことがあることを理解しておきましょう。

労働保険は保険料負担もそれほど大きくなく、また何より加入することで従業員が安心して働けることを考えれば、パートも含めて労働保険加入手続きを行うことが重要なのです。

「健康保険と厚生年金保険の二つが、社会保険」

社会保険は、大きく「健康保険」と「厚生年金保険」とに分かれます。

「健康保険」は、業務外の負傷や死亡に対して補償を行う制度です。

これまでの保険の説明とあわせて区別すると、業務中の事故などに対応する保険が「労災保険」で、業務外がこの「健康保険」ということです。

また健康保険からは、出産時に一時金が支給されたり、産前産後休業中に出産手当金も給付されます。

一方で「厚生年金保険」とは、国民年金の支給額に加えさらに上乗せして年金を給付する制度です。

これらは従業員たちが受け取る毎月の給与などから天引きされる形で、一定の保険料を納めていく形となります。

事業主の加入の義務ですが、社会保険の加入については、個人経営であれば義務ではないのです。

美容室は、社会保険の適用における法定業種に指定されていません。

しかし、法人になっている場合は、法的に加入義務を課せられます。

加入していない場合は、最大で2年間、遡って適用される場合もあるので注意しましょう。

費用負担の割合は、事業主と労働者で半分ずつを負担するのが原則です。

この点は、事業主からすれば最も気になるところでしょう。下に月間の給与とそれ対する健康保険料と厚生年金保険料の事業主負担額のサンプルを記載しました。

この社会保険料率は毎年上昇していますが、だいたい人件費の15%程度の事業主負担というのが現状のようです。

仮に事業主が社会保険に加入していない場合は、労働者は個人として、健康保険では「国民健康保険」、年金では「国民年金」に加入しなければなりません。

では、その違いは具体的にはどんなところにあるでしょうか。

「社会保険の健康保険」と「国民健康保険」の違いとは?

違い①

国民健康保険の場合は、出産手当金が支給されません。

これは、産前産後の休業時は働けないため、当然、会社からの給料はもらえませんが、社会保険(健康保険)に加入していれば、保険から給与の3分の2が支給されるため、生活費の心配をそれほどしなくて済むのです。

違い②

国民健康保険の場合は、「傷病手当金」が支給されません。

傷病手当金とは、業務外の傷病などで働けなくなった場合は、健康保険から最大で1年6か月間、給与の3分の2が保険から支給されます。

そのため治療に専念できるというメリットがあるのです。

社会保険の「厚生年金」と「国民年金」の主な違いとは?

違いその① 

国民年金は全額自己負担ですが、厚生年金は事業主と労働者が半分ずつの負担になります。

これは社員にとってみれば、厚生年金の方が負担が少なくてすむため大きな違いとなります。

また、収入が多くなると厚生年金の負担の方も大きくなりますが、その分は将来年金になって帰ってきます。

違いその②

 
国民年金は配偶者の分も、全額負担となります。

厚生年金の場合には、配偶者の年収が130万円未満であれば被扶養者となり、保険料の負担はいらないのですが、国民年金の場合は、配偶者は被扶養者ではなく、被保険者となるので保険料は全額自己負担となります。

つまり配偶者の年収が130万未満であれば厚生年金の方が保険料負担の面では断然有利となるのです。

これまで、経営者つまりサロンオーナーが社会保険に加入した場合と未加入の場合で、使われる側である従業員にとってのメリットの違いを見てきました。

こういった違いが、もっとも顕著に現れるのが、求職、つまり人材募集においてかもしれません。新しい働き先を選ぶに際しては、給与や環境だけでなく、自分自身やパートナーの人生を長い目で見て、しっかりと守ってくれる会社に応募したい、そうスタッフもその家族も思うからでしょう。

独身者ならともかく、結婚している夫婦などの場合は、ご主人の技術者があるサロンを気に入って求職したいと願っても、家族である奥さんがその会社の提示している条件や福利厚生に不満や不安を持ち、横やりを入れてくるといった話しはよくあります。

簡単に言うと、本人は良くとも家族の賛成が得られないというケースです。

数十年前のバブル期ならばともかく、今のように時代が決して豊かとはいえない時期に、さらに競合他社の数も多く、サロン数自体が増加の一途をたどっている日本のサロン業界のなかで、しっかりと社会保険に加入していないサロンには計画性のある優秀な人材は集まらないといった傾向がこれから出て来るはずです。

サロンのオーナーとして、今後益々厳しくなる競争に打ち勝つためにも、まずは優秀なスタッフを確保するためにも、スタッフに安心して働ける環境を、できる限りで構築していきたいものです。

保険については、社労士に相談するとよいでしょう。創業手帳では、無料会員向けに専門家の紹介を無料で紹介していますので、ぜひご活用ください。(創業手帳編集部)

個人事業主なら、開業前に知っておきたい。白色申告と青色申告

個人事業になると毎年行うのが、確定申告です。

白色申告と青色申告の二種類がありますが、青色申告には沢山のメリットがあります。

主に節税に繋がりますが、そのメリットをご紹介しましょう。

➀「税金のかかる所得金額を650,000円減額できる」

白色申告は、売上から経費を差し引いた金額に対して、税金がかかってきます。

しかし青色申告の場合には、売上から経費を差し引いた金額から、更に650,000円を差し引いた金額に対して税金がかかるのです。

この650,000円減額は大きなメリットです。

➁「今年の損失を繰り越し、利益の出た年の利益と相殺して税金のかかる金額を減額できる」

青色申告の場合、損失を3年間繰り越せるのです。損失が出てから3年以内に利益が出た場合、その利益の額から繰り越した損失をマイナスし税金の計算をします。

下のような例の場合、3年目においては利益100万円から過去(1年目・2年目)に出た損失80万円を控除した20万円に税金がかかることになります。

青色申告でなければ、このような損失の繰り越しは行えません。3年目には100万円に対して税金がかかってしまうのです。

➂「30万円未満の設備が全額購入した年の経費になる」

サロン経営には設備投資が不可欠です。シャンプー台や加温機など、多くの器具器械が必要となり、一定期間の後にまた買い替える必要も出てきます。

青色申告であれば、30万円未満のものは全額購入した年の経費とすることができるのです。

白色申告であれば、「減価償却」という手続により使用する年数にわたって経費にしていきます。

各年の経費の金額は、設備の金額を配分する計算を行います。青色申告の場合と白色申告の場合の違いは、以下を参考にしてください。

つまり青色申告の方が、大きな金額を早い時期に経費にすることができるのです。

しかし上のような青色申告のメリットを受けるには以下のような要件があります。

  • 事業所得を生ずべき事業を営んでいること(サロン経営を行っていれば必然的に満たされます)。
  • サロンの取引を「正規の簿記の原則」により記帳していること(いわゆる簿記を使って取引を記録する必要があります)。
  • 貸借対照表及び損益計算書等を作成し期限内に確定申告書を提出すること(毎年その年の翌年3/15までに確定申告書を提出する必要があります)。
  • 帳簿や書類などは原則として7年間保存すること(書類によっては5年間でよいものもあります。)。

一番大きなハードルは簿記を使って記帳をすることだと思います。

ここはサロン経営者により判断は分かれるのですが、記帳の時間は売り上げを生み出しませんので、サロンワークで忙しい場合には、税理士事務所等に依頼する方法が得策かと思います。

ただし、税理士への費用が発生するため、サロンの規模などによっては、ご自身で作成される方法もチャレンジしてみる価値はあると思います。

法人設立までの手順とは?

法人にすると一言で言っても、法人にはどのような種類があるのか、そして、それぞれを立ち上げるまでに一体どのような手順を踏めばいいのか、そのための時間やコストはどれくらいかかるのか…。

今回は、法人の種類や、その設立までの基本的な手順を説明します。

まず会社には、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社など様々な種類の会社がありますが、サロン運営においては株式会社か合同会社のいずれかを選択することが多いようです。

合同会社は、株式会社を小さくしたようなイメージといえるでしょう。

比較的小規模な事業をするのにむいたスタイルです。以下にその大きな違いを表にしています。参考にしてください。

いずれの場合でも、法務局に登記をすることで、会社は初めて「法人」として認められるのです。

この登記をすることで、あなたの会社の銀行口座の開設や、会社名義での契約等を行うことができるようになります。

≪設立登記までの流れ≫

①会社の基本事項の決定
②定款の作成
③定款を公証役場で認証
④登記に必要な書類の作成と準備
⑤設立登記を法務局に申請

①定款の認証

会社の約束事をまとめたものを「定款」といいます。

定款は作成したのち、「公証役場で」正しく作成されていることを確認してもらわなければなりません。このことを「定款の認証」といいます。

②設立登記

会社を設立する際には、法務局で「設立登記」をします。

登記とは、法務局に会社の重要事項を登録することです。

③各種届出

会社を運営するためには、諸官庁への手続きが必要になります。

税務署や年金事務所等に手続きが必要です。なお登記が完了しなければ、登記事項証明書が取れません。

銀行口座を会社名義で作るのも、登記が完了してからです。

④手続きは1カ月くらいかかる

設立登記を法務局に申請するまでの準備期間を2週間、法務局に登記の申請をしてから、その後の手続きに1〜2週間程かかります。

公証役場や法務局で手続きしなければならないので、予定通りに進まない場合もあります。

法人設立、法人成りに関する税金のアドバイスは税理士が、社会保険のアドバイスは社会保険労務士が、設立登記等のアドバイスは司法書士や行政書士が得意とする分野ですので、うまく専門家を利用して、スムーズな設立を目指しましょう。

この記事では、開業までに必要なことをみてきました。冊子版の創業手帳では、開業後に必要となることを網羅的に知ることができます。開業前から先のことを把握しておくことで、まとめて準備しておくこともできるでしょう。また、心構えができることで、開業への不安をなくすこともできるはずです。無料で送付していますので、ぜひ入手してみてください。(創業手帳編集部)

前回の「9.××××××」を見逃した方はこちら!
○○○○○【美容室・サロンの開業手帳 〜9.××××××〜】
まずは、美容室開業のための情報のいろはを知ろう!
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(監修:「理・美容室の創業融資・開業支援に強い税理士事務所」
ライズサポート税理士事務所
武渕将弘 税理士)
(編集:創業手帳編集部)

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